コード・ブルー -Blue steelyard 8-

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────緋山先生に針刺したの、名取先生ですよね？

心、傷まないんですか？



「あぁ…今日、体調悪いとかで早めに帰りました」



ちゃっかり誤魔化している横峯さんに複雑な心境を抱きつつ、気がついたときにはエレベーターの方へ向かった緒方さんを追いかけていた。



「緒方さん！」

「おぉ、名取先生」



────ちゃんと言え、俺。



「…緋山先生、いまB-08の病室にいます」

「え、入院してんの？」

「いえ…、隔離されてるんです。

俺のせいで…」


救命に、大きな穴が空いた日だった。



ひとつは緋山先生が隔離されてしまったこと。



そして、もうひとつは。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(白石)

Noteに検査待ちと書かれた緋山先生と、ICUに入院中と書かれたAを見つめながら、私は橘先生の帰りに見に行ってやってくれ、という言葉に顔をゆがめた。



「なに、喧嘩でもしたのか」

「いや…Aが運ばれたとき、緋山先生たまたまいなくて、そのことでちょっと、ずれてしまって。

あとはフェローの指導のこととかで、少し」



後者は、日々言われ続けていることなんですけど、と言い添えると、橘先生は相変わらず熱いねぇと笑う。



「…でも、緋山先生の言うとおりなのかもしれないなって、こういうとき思います。

緋山先生や藍沢先生、それに帰ってきてくれたAのほうが、私なんかよりリーダーに向いてるんじゃないかって。

3人は、決断力があるし、頼りがいもある」

「…俺も正直そう思ったよ」

「────え」



────橘先生すみません、初耳です…。



ぽけっと呆けてしまった私をよそに、彼はここだけの話な、と話を進めていく。



「俺も迷った…香坂が帰ってくる前な彼女以外の誰に、スタッフリーダーを任せるか。

迷って緋山と、香坂に相談した。

そしたらな、あいつらは揃ってお前を指名したんだよ。

緋山は白石以外にいないじゃないですか、香坂は、橘先生、答えわかってて相談してませんか、ってな。」



2人の心に、私は何も言えなくなってしまった。



「緋山がな、私や藍沢は、タフと言うより自分勝手なだけだ。

決断力があるように見えるのは、人のことを考えずに自分のことを考えるからだって。

自分のことを後回しにして、スタッフ達の悩みや、苦労に耳を傾けられる、白石みたいな人間が、リーダーには相応しいんだって」

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