A lonely night. -孤独な夜 1- ページ3
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(京)
窓から見えるのは、都市の景色。
雲の狭間に覗くビル群が、こんなにも小さく見える。
────まさか、こんなに早う戻ることになるとはな…。
まさか香坂がこんな事態になっているとは、思いもしなかったが。
────…ま、あいつらしいわな。
いまでも、耳の奥に残る泣きそうな声は。
もどかしい、そして、決断に踏み切れない自分が情けないと思った。
そうしてぎりぎりまで、全力で自分の命を燃やしているあいつが、ひどく誇らしく思えた。
────けどなぁ、香坂。
自分ばかり背負い込むのは、あいつの悪い癖で。
ひとつ息を吐いて、ペットボトルのミネラルウォーターをひとくち。
大阪を出る際に買ったそれは、もうすっかりぬるくなってしまった。
ポケットからイヤホンを取り出して接続し、大きめの音量に設定して耳に差し込む。
大阪から千葉まで、最短で1時間と少し。
残りわずかになった空の旅に、窓枠に頬杖をついて意識を闇の底に沈めていく。
────…問題やな。
腰が、痛い。
年だろうか、……そう考えると虚しくなる。
軽く襲ってきた睡魔に身を任せて、静かに目を閉じた。
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(香坂)
今日から復帰の灰谷先生の様子だけ見てから行こうと、私服のままではあるがスタッフステーションを覗く。
「おー香坂じゃん、いまから迎え?」
一番に私を見つけた藤川先生を筆頭に、恵ちゃんと美帆ちゃんが顔を上げてこちらを振り返った。
「うん。
…灰谷先生今日からだよね?」
「あ…うん」
歯切れの悪い恵ちゃんに、太い柱にもたれながら苦笑を浮かべる。
すると、後ろからいきなり声をかけられた。
「おはようございます!」
「わ!?」
今日はパンプスのため、思わずバランスを崩しそうになる。
ばくばくと早鐘を打つ心臓をなだめつつ振り返った先には、とっても良い笑顔の灰谷先生。
「おはよ、灰谷先生。
頭、もう平気?」
「はい!
ご迷惑をおかけしてすみませんでした!」
頭打って性格ちょっと変わったのだろうか、いや、そんな馬鹿な。
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リラン(プロフ) - 前にも読み終わったんですけど、また読みたくなって読んじゃいました笑ところどころ私の好きな小説と似たようなセリフでてきていて、感動っていうかすごく心に響くめんがありました!改めていい作品です! (2022年7月22日 8時) (レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
クリスティ38(プロフ) - もはや、オリジナルすぎてコードブルー←ではないと思いますが。一個人の感想ですので……夢主以外にオリキャラだした時点で、オリジナル多すぎな時点でもう脱線というか、名前使った別物に感じました。私が、オリジナルやオリキャラ出すの認めてない人なので…… (2019年9月23日 18時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 最近更新されていないようですが、大丈夫ですか?更新されるのを楽しみにしています。 (2017年11月10日 15時) (レス) id: 45294f18cf (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - なんなんですか!明日学校なのに泣きすぎて目が腫れてしまうじゃないですか!と怒りたくなるくらい面白かったです。これも、何度目かのコメントですが、何回もコメントしたくなるほど面白いです!更新頑張ってくださいね。 (2017年9月19日 1時) (レス) id: c2c72ce877 (このIDを非表示/違反報告)
Kazsaaaan(プロフ) - 初めまして!ずっと1話から読ませていただいておりまして、今回8話のお話が涙なしでは読めなかったので気持ちを我慢できず感想を書きに来ました!もう!大好きです!過去のお話含め、切なさありキュンあり、ハラハラドキドキな毎話。更新楽しみにしています! (2017年9月11日 23時) (レス) id: 5f115adcd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年9月5日 0時