コード・ブルー -Blue steelyard 8-

Fate and destiny． -砂時計- ページ2

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(香坂)

人生には、時間がある。



生きるための、時間が。



きっと生きてみれば、あっという間に違いないのだろうと思える。



だから病気のことを知っても、ぎりぎりまで全力で生きてやると心に決めた。



────でも、さすがに手術台の上は嫌だなぁ。



この選択は、果たして正しかったのだろうか。



明日、午前中に成田空港まで京先生を迎えに行って、午後からは検査入院、調子よく進めば、明明後日には手術が控えている。



私にはもう両親はいないので、書類の手続きなどは早く済んだ。



心配なのは、1週間ほど穴を開けてしまう救命と。



────灰谷先生…。



明日から復帰する、彼。



ホームから落ちたのは薬のせいだと本人は言っているけれど、私を始めとするスタッフは────最悪の事態だったのではないか、と不安になっている。



────私に、できることは。



いつもどおり、あたたかく迎えてあげること。



一度病院に顔を出そうと思いながら、もうすっかり慣れてしまったホテルのベッドに倒れ込む。



────部屋、いい加減見つけなきゃ…。



これではおちおち買い物もできない。



入院の間に探そうと決め込んで、すぐさま襲ってきた睡魔に身を任せる。



ヘリも無事に再開されて、まだ少し不安は残るけれど、だんだん雰囲気や、フェロー達も良くなってきていると思う。



────色々大変だったけど、やっぱり戻ってこれて良かったなぁ…。



“黒田先生、私、皆に出逢えて本当に良かったです”



8年前、そう言った私に、彼は満足げに頷いて頭を撫でてくれた。



滅多とない、優しい手つきで。



“……そうか”



神様が私に与えた試練、それらをすべて背負って、受け入れて、これからを生きていこうと思う。



────それが私の、決意だ。



大丈夫、もう怖くない。



だって、皆がいる。



大切な、ひとがいる。



失いたくない、仲間がいる。



────砂時計の中に眠る運命は、ただ静かにそのときを、無慈悲にも刻み続けるのだ。



いまかいまかと待ち構えるように。



その爪を、牙を研いで、待っている。






ただじっと、待っている────────。

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