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(香坂)
「あー…熱下がってて良かった…ほんと、良かった」
その代わりに、薬のせいでいつもよりも眠いと訴える身体に缶コーヒーを流し込む。
────まさか、あんなところで逢うなんてね。
それは数十分前に遡る────。
急な発熱だったため手持ちの薬がなく、仕方なしに徒歩でドラッグストアに向かっている途中の横断歩道、視界の隅に崩れ落ちる女性の姿が映った。
「っ!?」
「結美！
しっかりして、ゆっくり呼吸できる…!?」
────あの子、手際いいな…大学生…医学部かな。
ちょっとすいません、通してくださいと言いながら人混みを掻き分け押し退け、私は患者さんの元へと駆け寄って膝をついた。
「医者です、この子は喘息持ち？」
「あ……！はい、このところ風邪っぽいって…」
「なるほどね…悪化しちゃったかな。
仰向けにして、膝の上に鞄乗せて、その上に頭乗せてあげて、それで少しは楽になるから」
「はい…！」
指示をきちんと聞いてくれる友人と思しき女性に頷きつつ、私はある程度落ち着いた呼吸を確認して、頸動脈に触れた。
────大丈夫、脈は触れられる…。
手の指先を見てみると、やはりそこは予想通りチアノーゼを起こしていた。
────けれど、あまり猶予はないな。
パーカーのポケットに放り込んでいたスマホを取り出して、翔北救命センターへ繋げる。
「すみません、救命の香坂です。
10代女性、気管支炎でチアノーゼを起こしています、至急白車1台お願いします。
…はい、よろしくお願いします」
通話を切った私は、目の前の女性が驚いた顔をして自分を見つめていることに気がついた。
「…どうかした？」
「あ、の…すみません、お名前は…」
首を傾げながら、ふたたび患者に目を落としながら口を開く。
「香坂です、香坂、A」
「────藤澤歩那です」
「……え」
いまは結んでいない薄茶の髪が、8月の終わりにしては妙にぬるい風に吹き遊ばれる。
彼女の、肩のあたりで揺れている漆黒の綺麗な髪と、形の良い涼し気な目元。
────その面差しが、11年前の少女と重なった。
「……あ…ゆな、ちゃん？」
「はい…！」
大きく頷いた女性に呆然としている私の耳に、救急車のサイレンが聞こえてきた────。
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琴子(プロフ) - こちらの誤字。先日ボードにお願いした2のリクエスト訂正があります。樋山先生が藤川までとブチ切れる…の樋山。ではなく緋山です。返信不要。よろしくお願いします。また！ (2017年9月4日 16時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
kii - 白石先生のリクエスト叶えてくださりありがとうございました！本当に白石先生そのもので感動しました！ついに明日はコードブルー放送日ですね！緋山先生がどうなっちゃうのか…更新も楽しみにしています！頑張ってください！ (2017年9月3日 23時) (レス) id: 7fea498993 (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - たむ。さん» 訂正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
たむ。(プロフ) - 次回予告、「感動」ではなく「感度」になってます!!! (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2fb288b2c4 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 藍沢先生誕生日話面白かったです！( ^ω^ )生誕祭ですね♪ 来年も、絶対香坂先生は隣にいますよ♪ (2017年9月3日 15時) (レス) id: eeb5e94ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月29日 0時
