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Aが慌ただしく手術室を飛び出していって、どのくらい時間が経過しただろう。
戻ってきたのは、彼女ではなくICUの看護師だった。
「先生方、どなたか1人来ていただけませんか。
様子がおかしいんです…！」
「おかしいって、香坂だろう？
よほど問題が…」
新海がなぁ？と俺を見てくる。
だが、悟ってしまった。
問題があったのは患者ではない。
────Aのほうだと。
「……新海、すまない頼む」
「おいまさか本当に────」
藍沢！と呼びかける彼の声を背に、俺は手術室を飛び出した。
「────藍沢先生、香坂先生が…」
ICUに駆け込んだとき、そこには既に治療の終わった杉原さんと、そのベッドの傍らにへたり込むAの姿。
「…A」
「っ、ばか…なん…っで来たの…！」
胸を押さえて必死に痛みに耐えている彼女の呼吸は荒い。
突然こうなってしまった医者の抱えている爆弾を、看護師たちは知る由もない。
「処置は終えたのか」
彼女にそう尋ねるとひとつ頷く。
看護師達の話によれば、治療が終わっていざ手術室に戻ろうとした瞬間、突然うずくまってしまったとのことだった。
Aは、さすがに他者に病気を明かすわけにはいかないと思ったのだろう、まだニトロを含んでいない様子だった。
「あとは俺がやります。
…立てるか」
「ん…」
本当は動くのもつらいはずだ。
けれどさすがにこの場で抱き上げるわけにもいかず、彼女もそれを理解していて、小鹿のような震える足でなんとか立ち上がる。
そのまま腰を支えながら、いまはもう人通りの少ない廊下の椅子へとお互い腰を降ろした。
席につくなり、Aは急いでニトロを口に含む。
そのままぐったりとした様子で目を閉じて、背もたれに背を預けた。
「……大丈夫か」
「何、してんの…はやく…もどって」
「その状態で置いていけるか」
「私は…いい、から。
もどっ、て、おねがい」
けだるげに薄目を開いて俺を見上げてくる薄茶の瞳に、弱々しい光が宿る。
それは瞬く間に強くなって、のびてきた手に想像以上の力でスクラブを掴まれる。
「────私のせいで…っ、彼女の手の未来をこれ以上閉ざしたくないの、だから戻って、耕作！」
首を振りながら必死に訴えた彼女は、わずかに乱れた息のまま、それきり疲れたように目を閉ざした。
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琴子(プロフ) - こちらの誤字。先日ボードにお願いした2のリクエスト訂正があります。樋山先生が藤川までとブチ切れる…の樋山。ではなく緋山です。返信不要。よろしくお願いします。また！ (2017年9月4日 16時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
kii - 白石先生のリクエスト叶えてくださりありがとうございました！本当に白石先生そのもので感動しました！ついに明日はコードブルー放送日ですね！緋山先生がどうなっちゃうのか…更新も楽しみにしています！頑張ってください！ (2017年9月3日 23時) (レス) id: 7fea498993 (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - たむ。さん» 訂正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
たむ。(プロフ) - 次回予告、「感動」ではなく「感度」になってます!!! (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2fb288b2c4 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 藍沢先生誕生日話面白かったです！( ^ω^ )生誕祭ですね♪ 来年も、絶対香坂先生は隣にいますよ♪ (2017年9月3日 15時) (レス) id: eeb5e94ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月29日 0時
