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(藍沢)
現場での処置が始まって、どれくらいが経っただろうか。
1件の着信があった。
『────藍沢先生聞こえる？』
どこか切羽詰まったような声で、Aが俺の名前を呼んでいる。
同期の視線が一斉に俺に向けられた。
────何か、身体に異変でもあったか？
「どうした」
『男性のほうが後縦隔に大量の出血がある。
大動脈の、断裂だと思う』
彼女自身のことではないことに息をつきつつ、俺は思ったままを口にした。
「…ならまず救命は不可能だな
俺にやれることはないだろう。
お前は別の患者についているのか？」
『うん。
いまは灰谷先生が彼の心マを続けてる…。
灰谷先生に20代女性の搬送を優先させたい。
いま診てる彼女も、骨盤の動揺が強くて、いつ急変してもおかしくないから』
Aの真意を読み取って、俺は迷うことなく言葉を紡ぐ。
「わかった。
────諦めさせればいいんだな」
『ごめん。
…おねがい』
その言葉を最後に通話を切り、駆け足でCSに入る。
インカムをつけてモニターを起動させ、俺は灰谷に呼びかけた。
「灰谷聞こえるか。
モニターを入れた。
心マしている手をどけろ、胸腔内を見る」
どかされた手の中、後縦隔を見てみろと指示を出して、画面に映されたそれに、やはりと確信する。
「香坂の言うとおり…大動脈の断裂だ。
やれることはない、だからあいつも他の患者を優先したんだ。
20代女性の治療と搬送を開始しろ」
俺の言葉に一瞬悩んだ素振りを見せた灰谷の手が、また心マを再開した。
「…灰谷」
『でも…っ、遮断してヘリで翔北に運べばまだ…、まだ────』
途切れた言葉に、分からせるようにその現実を告げる。
「そうだ。
────ヘリは飛べない」
飛ぶための翼を、大切な翼を、傷つけてしまったから。
「そもそも大動脈断裂じゃ、可能性はほとんどない。
…わかるな。
そこに医者は2人しか居ない。
いまの香坂が1人で回せる量じゃない。
骨盤骨折の女性も、危険な状態だ」
そのとき、胸腔内から血液が溢れ出た。
驚いた灰谷の手が止まる。
「大動脈破裂だ。
────…これで可能性はゼロだ。
……諦めろ、灰谷」
A、お前の判断は正しい。
救えない命と救える命を天秤にかけたとき。
お前は、救える命をとった。
────それが、医者の選択だから。
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琴子(プロフ) - こちらの誤字。先日ボードにお願いした2のリクエスト訂正があります。樋山先生が藤川までとブチ切れる…の樋山。ではなく緋山です。返信不要。よろしくお願いします。また！ (2017年9月4日 16時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
kii - 白石先生のリクエスト叶えてくださりありがとうございました！本当に白石先生そのもので感動しました！ついに明日はコードブルー放送日ですね！緋山先生がどうなっちゃうのか…更新も楽しみにしています！頑張ってください！ (2017年9月3日 23時) (レス) id: 7fea498993 (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - たむ。さん» 訂正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
たむ。(プロフ) - 次回予告、「感動」ではなく「感度」になってます!!! (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2fb288b2c4 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 藍沢先生誕生日話面白かったです！( ^ω^ )生誕祭ですね♪ 来年も、絶対香坂先生は隣にいますよ♪ (2017年9月3日 15時) (レス) id: eeb5e94ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月29日 0時
