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冷たい背中に両手を差し込んで抱き起こし、薬の服用できる安静な体制を取らせる。
「…A、口開けろ」
「…っ、ふ…？」
素直に舌をあげて口を開いた彼女の舌下に、錠剤を落とし込む。
そのまま口を閉じたのを確認して、後頭部と背中に腕を回して自分の胸の方へと抱き込んでやる。
嗚咽混じりに何度か息を吐き出す震える背中をさすってやりながら、声をかけた。
「……あのとき、行かせなければ良かった」
こんな目に遭うくらいなら、代わってやりたかった。
ふるふる、とAが頭を左右にゆるく振れば、彼女のシャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。
冷えきった身体に少しでも熱を与えようと、細い肢体を抱きしめた。
「………こ、さ…く」
小さく呼びかけたAの頭を撫でから身体を離し、なんとか落ち着いた様子の白い顔に流れた、涙をぬぐってやる。
「まだ苦しいか？」
わずかに開かれた薄茶の瞳は、ニトロの が引き起こす低血圧と、疲労による眠気に溶けて潤んでいる。
「………あり、がと…」
伝えられて満足したのか、彼女はふっとそのまま瞼を落として俺の胸に倒れ込んだ。
とん、と重さが伝わって顔を覗き込めば、こちらの気など知らずに寝息を立てていた。
「………────ったく…」
「藍沢先生…！」
「香坂無事か!?」
戻ってきた冴島と藤川と3人で彼女をストレッチャーに乗せ、救急車で翔北に運んでもらうよう頼む。
あとで乗ります、と伝えて、俺は横峯と灰谷の診ていた患者の元へ駆け寄った。
「バイタル頻繁にチェックしろ」
「…はい」
状況は白石から聞いていた。
危うくミスをしかけた灰谷に、Aが助け舟を出したのだと。
「最後まで責任を持って診ろ。
香坂の手助けがあったとは言えど、この患者は正真正銘、お前が救った患者だ」
「…はい！」
2度目の灰谷の返事は、自信と達成感に溢れていた。
そのとき、翔北行きの白車が出発を俺に伝えてくる。
「藍沢先生！
あの、香坂先生は…」
横峯の声に振り返れば、心配そうなふたりの顔がそこにあって。
あいつは誰からも好かれることを、改めて実感した。
「いまは眠っているが、呼吸もはっきりしている。
────大丈夫だ」
「本当ですか…、良かった…！」
顔を見合わせる彼らを横目に、俺は白車に乗り込む。
────よくやったな…。
保温されてわずかに血色の戻りつつある頬に手を添えて、俺はわずかに微笑んだ。
胸にこみ上げる感情を、押し殺しながら。
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yui - いつも楽しく読ませていただいております！単語についてなのですが、6話の5ページ、「コークリフト」とあ（ますが「フォークリフト」かと思われます。倉庫内で重いものや大きいものを移動させる乗り物です。 (2017年10月13日 16時) (
レス) id: 30abdae40f (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 18の守口さんの名前が森口さんになってましたので報告させていただきました (2017年10月7日 13時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
kii - 仕事の話し(患者さんとか)でもいいし、プライベートでもいいし、シリアスな感じでもいいし…とにかく香坂先生と白石先生が会話をしているところをもっと見たいです（笑）突然のお願いですみません！これからも頑張ってください！応援しています！ (2017年8月28日 23時) (レス) id: 827d9f9495 (このIDを非表示/違反報告)
kii - 6話完結おめでとうございます！いつも楽しい作品を作ってくださりありがとうございます！またまたリクエストなのですが、最近藍沢先生との絡みが多いので(不満とかそういう意味じゃないです！)白石先生との2人のシーンが欲しいです！できれば藍沢先生の恋愛話は無しで… (2017年8月28日 23時) (レス) id: 827d9f9495 (このIDを非表示/違反報告)
nee - こんばんは！いつも作品見させてもらってます！リクエスト？意見？なのかわかりませんが名取先生には香坂先生から緋山先生に恋心移ってほしくないっていうか……無理なこと言ってすみません！これからも頑張ってください！ (2017年8月28日 22時) (レス) id: 363a4b4fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月22日 0時
