5 ページ7
初療室に耕作────藍沢先生とたどり着いたときには、すでに白石先生がホットラインの対応をしていた。
『市原町の冷凍倉庫内でコークリフトの誤操作による荷崩れ事故発生、負傷者多数とのことです』
冷凍倉庫内か…上着着てて良かったな。
「具体的な人数は」
『詳細は分かりません』
「…分かりました、向かいます」
そう言って通話を切った彼女は、「数が多そうね…」と一瞬悩んだ素振りを見せてから、こちらを振り返った。
「香坂先生、灰谷先生と代わって先に行って。
そのあとピストンで灰谷先生と横峯先生にも行ってもらう」
「分かった。
骨折だらけだと厄介だから、状況によっちゃピストンに藤川先生も追加してもらえる?」
「大丈夫よ」
私の要求に白石先生と藤川先生が頷いたところで、私は救命道具の入ったリュックを背負って初療室を飛び出した。
窓から見える現場は、少し混乱しているようだった。
「んしょ」
私の身長には少し厳しい入り口の段差に苦労していたら、藍沢先生が無言で引っ張り上げてくれた。
「…あ、りがと。
雪村さん」
「すみません、ありがとうございます」
同じように雪村さんを引き上げるのを手伝って、私達は奥へ進む。
「わわっ!?」
と、足に何かが引っかかって前につんのめりそうになった。
おなかのあたりに、たくましい腕が回るのを感じで息をつく。
「この現場、お前には不向きらしいな」
「助かった…いやほんとに…」
苦笑なんてしてる場合ではないのだが。
「翔北救命センターの藍沢です。
ほかに重傷者は」
「現状この2名です」
「────負傷者もう1名中に居ます!
診てもらえますか?」
負傷者が冷凍倉庫内にいるという報告を受けて、私は重傷者2人を藍沢先生と雪村さんに任せることにした。
「おねがい」
「…気をつけろ」
────何に気をつけろなのかは、分かっている。
急性冠症候群を抱える心臓が、急激な体温の低下に弱いこと。
先導されてたどり着いた扉の前で、スイッチが押されて開かれる────冷たい空気が、どっと私に降りかかった。
さぁ、勝負だ。
「先生、こちらです」
声をかけられてそこにいたのは、梯子の間に綺麗に挟まった人────失礼ながら、おお、と心の底で感嘆の声を上げてしまった。
「これまた綺麗に…。
翔北救命センターの香坂といいます。
お名前言えます?」
「
太ったと書いて太田」
3935人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yui - いつも楽しく読ませていただいております!単語についてなのですが、6話の5ページ、「コークリフト」とあ(ますが「フォークリフト」かと思われます。倉庫内で重いものや大きいものを移動させる乗り物です。 (2017年10月13日 16時) (レス) id: 30abdae40f (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 18の守口さんの名前が森口さんになってましたので報告させていただきました (2017年10月7日 13時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
kii - 仕事の話し(患者さんとか)でもいいし、プライベートでもいいし、シリアスな感じでもいいし…とにかく香坂先生と白石先生が会話をしているところをもっと見たいです(笑)突然のお願いですみません!これからも頑張ってください!応援しています! (2017年8月28日 23時) (レス) id: 827d9f9495 (このIDを非表示/違反報告)
kii - 6話完結おめでとうございます!いつも楽しい作品を作ってくださりありがとうございます!またまたリクエストなのですが、最近藍沢先生との絡みが多いので(不満とかそういう意味じゃないです!)白石先生との2人のシーンが欲しいです!できれば藍沢先生の恋愛話は無しで… (2017年8月28日 23時) (レス) id: 827d9f9495 (このIDを非表示/違反報告)
nee - こんばんは!いつも作品見させてもらってます!リクエスト?意見?なのかわかりませんが名取先生には香坂先生から緋山先生に恋心移ってほしくないっていうか……無理なこと言ってすみません!これからも頑張ってください! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 363a4b4fa6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月22日 0時