コード・ブルー -Blue steelyard 5-

Epilogue -祈望- ページ37

祈望(きぼう)とは。



祈り願うこと。強く願うこと。



たとえその先に何が待ち受けていようとも。



人は願う。



自らの私利私欲のため。



愛する人のため。



或いは────────





自分を差し置いてでも、叶えたいと思う願いを。



いまはまだ知らなくていい。



知らぬ間の平穏を過ごせばいい。



暗闇に落ちて、ただ1人となったときに。



そばにあるぬくもりが、消え失せたときに。



人は、失って初めて、その感情に気がつく。




自分にとってどれだけ大切だったのか。



自分がどれほど、その人を思っていたのか。



────その感情の名は、後悔。



ひとつだけ、言えることがある。



知ってしまったことがある。



一度失ってしまったものは




どんなに強く願ったところで



どんなに手を尽くしたところで



どんなに呼びかけたところで



────わたしが、ころした。



もう二度と、戻らないのだということに。



まだ抜け出せないでいる。



心のどこかに蓋をされて、そのせいで呼吸が続かなくなる。



この蓋を、鎖を、誰か外して。





────────それがわたしの、願い。



愛と祈望。



あなたは、どちらを望みますか。



第5話 寄り添う人 -Fin-

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