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「藍沢、すまんが代わりに行ってくれ」
「…？
はい」
────橘先生が行けなくなった？
そのとき、私の脳内を電流のように嫌な予感が駆け巡った。
「────息子が、急変した。
…すまん香坂、一緒に来てくれるか？」
「もちろんです」
現場には藍沢先生を、優輔くんには循環器内科の知識のある私を当てれば、まず問題はないと判断したのだろう。
「そっちもまずそうなら連絡して」
「わかった」
耕作と短くそう交わして、私たちはそれぞれの患者の元へと走り出す。
1分でも1秒でも早く、その人を救うために。
優輔くんの病室に飛び込むように駆け込んだ私は、三井先生のそばに寄った。
「A、来てくれたのね…」
「当然ですよ」
血反吐を吐いたあとがあった。
つらそうに眉を寄せる彼の頬を一度撫でてから、私はそばにいた看護師に尋ねる。
「内視鏡室の空きは？」
「いっぱいで入れません…！」
なら初療室に運ぶしかないかな…。
「君は…」
……えっと、失礼ですがこの人誰だっけ。
「救命の香坂です。
…母は元循環器内科医でしたので、知識はあります」
「なっ、
「コンサル入りますよ」
そう言って私がにっと笑った相手の名は、井上宣顕先生と言うらしい。
優輔くんは、急にお腹が痛いと言い出して吐血してしまったそうだ。
三井先生が橘先生に説明しているのを耳に入れながら、私はスマホを耳から退ける。
「初療室、内視鏡準備してもらってます」
「さすが、いい準備だ香坂。
行こう」
「ああ」
少し離れます、と橘先生に許可を貰い、ベッドごと病室を出ていく彼らより先に、私は初療室の隣にある町田さんのいるCSに駆け込む。
「藍沢先生から？」
「はい」
ヘッドフォンをつけて、ヘリに乗っているであろう彼のスイッチをオンにする。
「香坂です。
患者は？」
『8歳男児、首にバーベキューの鉄串が刺さっている。
抜かずに戻ってから治療することにした。
まだ意識はあるが、…厳しいかもしれない』
首か…無理に抜いたら血管や神経を傷つける可能性があるから、現場で抜かなかった判断は正しい。
「…わかった、初療室に運んで。
私も優輔くんの内視鏡検査でそこにいるから。
そのときどうするか再度決める」
『わかった』
私にまた、命の天秤が問いかける────。
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Koto(プロフ) - リクエストなんですが、shortstoryで三井先生が香坂先生を溺愛するお話が見てみたいです！ (2017年9月23日 11時) (
レス) id: e1c8bdc482 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 藍沢とくっつけてほしいです！ (2017年9月1日 5時) (レス) id: 4dd38bd3ac (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます。リクエスト了解しました、短編で書かせていただきますね(*^_^*) (2017年8月24日 13時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - ずっと楽しく読ませてもらってます！伏線の張り方とか心情描写まで丁寧で引き込まれます。しかもネタもつきないしすごいですね！！リクエストなんですが、京先生が大阪の病院でモテて、白石先生がそれにちょっと嫉妬する？みたいなものが見たいです！ (2017年8月23日 23時) (レス) id: c0afa0c28c (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 前作時にはコメ返ありがとうございました！4話読みました。歩那ちゃんの存在が気になります。香坂先生にとって良い刺激といいますか、そうなってくれるのが楽しみです！又短編立浪草のお話も読みました。一週間でも幸せだったのだろうと思うと凄く切なくて泣けました。 (2017年8月15日 1時) (レス) id: 68a6b7d888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月8日 10時
