short story． -A little, getting sweet.- ページ40
藍沢先生だって、望んでます。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(藍沢)
「そんでね、まぁ男のほうが美形なわけよ」
「へぇ…」
医局、緋山の熱弁に生返事を返したAに、白石と二人で小さく笑う。
基本的に、彼女はイケメンがどうだとか、そういった話には興味がない。
あるのは俺と同じで目の前の患者だ。
それでいてファッションや持ち物は高校時代からお洒落だから、そういうところは変わらないと思う。
「……ねぇ、もしAがつき合ってくれたらどうするの？」
小声で聞いてきた白石に、思わず声を上げかけて押し黙る。
Aはソファで緋山と別の話題に花を咲かせている。
「………できることなら、ホテル暮らしじゃなくて家に呼びたいとは思う」
「お、頑張るね」
朝起きたらそばにいて、藤川のように一緒に出勤ができるようになるだろうか。
「藍沢ー、あんたトロントのお土産よろしく」
────俺は旅行に行くんじゃないんだが。
そういった意味を込めて緋山に視線を送ってやれば、私も欲しいーと前を向いたままAが手を挙げる。
「…お前らな…」
「もー緋山先生、Aも調子乗らないの」
「へへ。
でもトロントかぁ…1回行ってみたいんだよね」
そう言いながらこちらを振り返ったAに、お互い医療関係の仕事でなければ、長期休みで行けるだろうにと思う。
カサロマや、ロイヤルオンタリオ博物館あたりを回ってみるのも悪くない。
────ねぇ、あの湖なんて名前だったっけ。
────…オンタリオ湖か？
────そうそう！いいよねぇ、海ほど潮風も強くないし、眺めもいいし、ああいうところに住みたいなぁ…。
────……落ち着いて暮らせそうだな。
「…藍沢先生？
聞いてる？」
ふっと思考の渦に浸かっていた意識を白石に向ければ、呆れた顔をされた。
「そんなに嬉しそうに笑うなら、さっさと告ればいいのに…」
「……簡単に言ってくれるな」
────もう、いっそのこと。
あいつもトロントに、連れて行ってしまおうか。
「────美帆ちゃん、私の髪で遊ぶのやめよ？」
「いいじゃん、手触りいいんだから触らせなさい、誰かさんの分まで」
「…？」
────仮に誘っても、あいつにはただの旅行だと思われそうだな。
A little, getting sweet. -Fin-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3703人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Koto(プロフ) - リクエストなんですが、shortstoryで三井先生が香坂先生を溺愛するお話が見てみたいです！ (2017年9月23日 11時) (
レス) id: e1c8bdc482 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 藍沢とくっつけてほしいです！ (2017年9月1日 5時) (レス) id: 4dd38bd3ac (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます。リクエスト了解しました、短編で書かせていただきますね(*^_^*) (2017年8月24日 13時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - ずっと楽しく読ませてもらってます！伏線の張り方とか心情描写まで丁寧で引き込まれます。しかもネタもつきないしすごいですね！！リクエストなんですが、京先生が大阪の病院でモテて、白石先生がそれにちょっと嫉妬する？みたいなものが見たいです！ (2017年8月23日 23時) (レス) id: c0afa0c28c (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 前作時にはコメ返ありがとうございました！4話読みました。歩那ちゃんの存在が気になります。香坂先生にとって良い刺激といいますか、そうなってくれるのが楽しみです！又短編立浪草のお話も読みました。一週間でも幸せだったのだろうと思うと凄く切なくて泣けました。 (2017年8月15日 1時) (レス) id: 68a6b7d888 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月8日 10時
