コード・ブルー -Blue steelyard 3-

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(藍沢)

2日ぶりに戻った自分の家は、何ら変わらない状態のまま主を迎え入れた。



ふと思い出して、パンツのポケットからそっとそれを取り出す。



7年前に彼女に贈ったこのダブルリング────うちのひとつであるシルバーリングは、チェーンを外せばペアリングになる。



片割れである彼女のピンクゴールドのリングともに、自分たちの指のサイズで作ってもらった。



よほど大切にしていてくれたのだろう、7年経っても汚れひとつないことに嬉しさがこみ上げる。



それと同時に心が締めつけられるような感覚があって、悔しさに歯噛みした。



「らしくないな…」



この感情は、自分には縁のないものだと思っていた。



けれどいま、フェロー時代からの7年間────いや、高校時代を入れるならそれこそ10年以上だろうか。



患者と向き合ってきた年数だけ、頭のどこかではAがいた。



互いが互いを気遣うがゆえにできた関係であり、その距離がひどくもどかしい。



自分でも焦れったいと思う。



この思いを抱えて生きていけるくらい、器用な心が欲しい。



そして願わくば、この関係に終止符(ピリオド)を打つのが自分ではなく、彼女であってほしい。



それなら素直に諦めがつく。



きっと、そう思う。



それまでそばにいることは、わがままだろうか。



昔、緋山と白石が言っていた。



────指輪は、大切な人を繋いでいてくれるんだってさ。

────でも本当に別れ際に指輪なんてもらったら、もうどこにも行けなくなっちゃうよね。



あいつも……そういう話は好きなのか。



いま思えばそばに置いていて欲しかったという思いだけが先走っていたような。



────まさか返ってくるとはな。



ふ、と笑ってから左の人差し指にそれを嵌める。



7年経ってもその大きさはちょうどで、正直ほっとする。



チェーンを貰ったら通そう。



そうすれば、ユニフォームに隠れてはっきりとは見えないだろうから。



その関係が絶たれないように。


真綿のようなやさしい拘束が、俺たちを繋いでいる。



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男性が左手人差し指に嵌める指輪の意味：

積極的になる、密かな願いを叶えたい、精神的に強くなりたい、自分の向上…など。

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