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(名取)
あの人は、強くて脆くて、嫌になるほど、患者にまっすぐの人だ。
自分のことなんて二の次三の次で、いまだって病み上がりなのに動き回っている。
スタッフステーションを含む下の階を見渡せる部屋に、フェローが集っていた。
隣の部屋には、藍沢先生がいる。
「24時間か…」
「つーかそんなに死にたきゃ1人で死ねよ…。
研究とかそんなに大事か？」
ぼそりと呟いてから、香坂先生が聞いたら、「人間生きたくても生きれない人だっているんだから！」と怒るだろうなぁと思ってしまう。
「ねぇ名取先生は平気？
もう医者はやれませんって言われたら」
スマホから顔を上げて、下の階に目を向けた。
小さい身体で動き回っている彼女の顔に、昨日までの疲弊しきっていた表情なんて微塵もない。
「……俺、本気で医者になりたいって思ったことないから」
「そうなんだ。
灰谷先生は？」
えっ、人の意見聞くだけ聞いといてスルーする？
「俺いま結構大事な話したんだけど…」
「えっ、そうだった？」
………なんか横峯さんって微妙に香坂先生に似て…るような似てないような。
話題をふられた灰谷は、何も言わずに俯いた。
大丈夫かよ、こいつ…。
「でもさぁ…香坂先生、医者はやれませんって言われたら、香坂先生じゃなくなっちゃいそう。
ちょっと言いにくいけど…」
確かに、それはわかる気がする。
あの人は、“医者”であるから香坂Aさんなのであって、そんな彼女から医者を取ってしまったら、ただの女性になってしまうんじゃないか。
「────少し違うな」
「え？」
隣の部屋から、藍沢先生が出てきながら口を開く。
その目はスタッフステーションで白石先生とカルテを見つめながら何かを話している、話題の彼女を見つめていた。
ただまっすぐに、純粋に尊敬し合う二人の隙間に────誰かが入る隙間なんて、あるんだろうか。
「あいつが医者でなくなった時が────香坂Aのさいごだ。
自分がどんなに危うくても、目の前の患者に死ぬ気で喰らい付いて、自分ができるすべての処置を施して…それでその患者が助かったなら…あいつに後悔なんてない。
昔から嫌ってほどにまっすぐで────本当に、手のかかるやつだ」
────………なん、だよ。
なんでそんなにスラスラと、言葉が出てくるんだよ。
────なぁ、誰か教えてくれよ。
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あやみん - 名取先生が、自分に、恋したなんて、最高です!!!!! (2019年8月19日 12時) (
レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 16話、朝日は登りつつではなく朝日は昇りつつ、ではないでしょうか？ (2019年2月10日 15時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 14話、以外にも耕作だった。ではなく、意外にも耕作だった。ではないですか？ (2019年2月2日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 13話冒頭、横峯さんではなく横峯ではないですか？意図されてでしたらすいません (2019年1月18日 22時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
rabbit - 32の下から9行目「手術中にに」となっています。間違っていたらごめんなさい。 (2018年10月6日 23時) (レス) id: fec1ec90ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月1日 0時
