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そのとき、ドアが開いて、橘先生と藤川先生、緋山先生が入ってきた。
「はるか…！」
「A…何これどうなってんの？」
秋本さんの処置にあたっている藍沢先生が、かすかに顔をしかめたのが雰囲気でわかる。
「解毒剤は、何を投与したんですか。
毒物は何ですか？」
食い入るように橘先生に質問する藤川先生と、何も言わないけれど同じように見つめる緋山先生。
「いま特定している」
「え？」
彼らが振り返ったホワイトボードの先には、Aが意識を失う前の言葉から手がかりに候補に挙がった、毒物の数々。
サリン、ＶＸ、マスタード、一酸化炭素、ホスゲン、クロロピクリン、CSガス、ルイサイト、シアン、有機リン。
私も並べられていくこの多さに、思わずため息をついた。
「えっ…これ、まだ…。
これ何分かかってるんですか？」
「…20分」
「20分!?
20分、て…」
そっと私が答えると、驚愕したように声をあげて、藤川先生は藍沢先生に駆け寄って、その腕を掴んだ。
「どうにかなんないの藍沢。
…っ、どうにかしてくれよ、早くしないと、はるかもAも間に合わなくなる！
お前は、Aがどうなっても平気なのかよ!?」
「そんなわけないだろ！」
────藍沢先生があんなに声を荒らげるところ、初めて見た…。
と、それまで握っていたAの指が、かすかだが動いたのを感じた。
雪村さんが、香坂先生？と呼びかける。
緋山先生も私の反対側に回って、彼女の頬に手をあてがった。
長い睫毛に縁取られた瞼がぴくりと震え、ゆるゆるとまだ焦点の合わない瞳が姿を見せる。
「A…！よかった…」
「香坂先生、意識戻られました…！」
ほっと肩の力を抜いて、藍沢先生を見て頷く。
彼は冴島さんを見、そして今しがた目が覚めたばかりのAを見つめていた。
「────香坂、灰谷、思い出せ」
「香坂先生、藍沢先生の声、聞こえてる？」
そう問えば、ゆっくりではあるが、こくりと頷く彼女。
「呼吸状態、身体の痛み、目の見え方音の聞こえ方、皮膚に発疹は。
どんなことでもいい、思い出してくれ」
Aは、冴島さんをじっと見つめていた。
起きがけの脳を叱咤しているのだろう、しきりに瞬きを繰り返している。
「は、吐き気がして…頭痛がして…こ、呼吸が速くなって…」
こくりと、Aも頷く。
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あやみん - 名取先生が、自分に、恋したなんて、最高です!!!!! (2019年8月19日 12時) (
レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 16話、朝日は登りつつではなく朝日は昇りつつ、ではないでしょうか？ (2019年2月10日 15時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 14話、以外にも耕作だった。ではなく、意外にも耕作だった。ではないですか？ (2019年2月2日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 13話冒頭、横峯さんではなく横峯ではないですか？意図されてでしたらすいません (2019年1月18日 22時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
rabbit - 32の下から9行目「手術中にに」となっています。間違っていたらごめんなさい。 (2018年10月6日 23時) (レス) id: fec1ec90ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月1日 0時
