6 ページ9
場所は変わって、エレベーターの中。
藤川先生を挟むように私と緋山先生、後ろにはAと藍沢先生。
「なんで言ってくれないのかなぁ…。
な、お前だったらどう?」
「知らないよ。
言わないこともあるでしょ」
「何でだよ、普通言うだろ」
緋山先生はすっかり呆れた様子だ。
まあ、普通そう思うよね…。
暫くの沈黙後。
「あんたの子じゃないんじゃない?」
「藤川先生のお子さんじゃなかったりして」
「………冗談でもやめろよ!」
緋山先生とAの声が見事にハモった。
ここまで綺麗に揃うのってなかなか珍しい。
「ていうか藤川先生?
まず人に言っちゃいけないと思う、そんな大事なこと」
「もっと凄いことかと思ったよ。
借金あるとかヘソクリがバレたとか」
「えっ、言っちゃダメなの?
てか!香坂の中の俺どんなイメージなんだよ!?」
「えーっと…」
「あったりまえじゃない、あんた馬鹿なの?
Aもズバッと言ってやんな!」
あはは…と苦笑を浮かべるAの横で、藍沢先生がひとつ確認していいか、と口を切る。
「お前ら付き合ってたのか」
「…それ今聞いちゃうの?」
「そっから!?」
「────……」
目を泳がせて黙ってしまった藍沢先生の腕を、Aがぽんぽんと叩いた。
藍沢先生、こういう話向いてないな…。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(緋山)
宮本さんの検査を一通り片付けてから、橘先生と少し前から姿が見えないAを探して、小児科の子どもたちが水遊びをしているところまで来ていた。
「すいません、橘先生と香坂先生、いらしてないですか」
「あれ…いたんですけどね。
香坂先生なら、あちらに」
村野さんが指さす先には、子どもたちに水かけの標的にとなっているAがいた。
「ひゃーっ!ちょっと待ってタンマ…っつめた!」
「わーい!香坂先生もおそろい!」
「ねー!」
うわ…びしょ濡れだけど楽しそうだからいっか。
「ちょっと、あんまりご迷惑かけないでね!」
「大丈夫ですよ村野さん────あ、緋山先生もやります?」
「やらないわよ!あとで服乾かしときなさいよ」
「はーい…うわっ、目に、はいった…!」
まったく、どっちが子どもなんだか…。
眺めているところに、橘先生が水鉄砲を持って戻ってきた。
あーなるほど、Aはその間の標的ってことね。
3274人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩架(プロフ) - 3話の「始め」ではなく「初め」ではないですか? (2018年10月13日 23時) (レス) id: d02e226a01 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 話に話を咲かせる、ではなく、話に花を咲かせる、ではありませんか? -14cm-です (2018年9月28日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - すいません、先程の書き込み、訂正させてください。「ステンド」ではなく、「ステント」ではありませんか? (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - -18cm-の京先生の考えてること、何個目かはわかりませんが…、「それは」の後の「、」が「,」になってます (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - -18cm-の京先生が一番最初に考えてること、ステントグラフトになっています。ステンド、ではないです? (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月27日 12時