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(横峯)
桟橋のトリアージエリアの私と灰谷先生もまた、患者の処置をしていた。
灰谷先生は左下腿開放骨折の女性、私は右大腿骨骨折の男性────どちらも早く運んであげたいのは山々だが、重症のの患者を先に病院へ送らなければならない。
「すみません、重症の患者さんを運び終えるまで、もうすこし待ってくださいね」
処置を終えて顔を上げたそのとき、視界の隅を何かがはためく。
そちらに目を向けながら駆け寄れば、所々に傷を負った女性が必死に手招きをしながら口を開いた。
『早く助けて、あそこに人がいる！
こっちに人が浮いてるの！』
「え、中国語!?」
女性はふたり組の中国人のようだったが、英語ならまだしも何を言ってるのかさっぱりわからない。
────さすがに無理だよ！
「ちょ、ちょっと待ってください！
通訳って誰に頼めば────」
『本当ですか、どこに？』
「…、えっ!?」
内心焦りながら灰谷先生に助けを求めたが、彼の口から綺麗に発音された中国語に、思わずその場に固まってしまう。
灰谷先生はそのまま女性ふたりと何やら話しながら、消波ブロックのほうへ。
『ほら、あそこ！』
「……っ！」
慌ててそのあとを追いかけ、彼女たちが必死に指さす海面を覗き込むようにして見た私と灰谷先生の背を、冷たい何かが駆け下りた。
暗い色を移す海面に、小さな背中が見える。
背丈からして中学生ほどの少年が、力なくそこに浮いていた────。
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(名取)
あれから無事に心嚢穿刺の処置を終えた京先生は、同じく赤タグエリアの患者を片っ端から診ていた。
「その人は足の温存は厳しいから止血を優先して」
「CAT巻いてあります」
「じゃあ血管見つけて縛って」
「ペアンで挟みます────そのほうが早い」
「ならそうして」
緋山先生の指示はいつだって的確だけれど、自分がやろうとしていることまで指示されるのはどこか腑に落ちない。
と、少し離れた場合で平砂浦総合病院の医師たちが重症患者を診ている。
「早く挿管しろ、サチュレーション90切ってるぞ」
「体勢が悪くて声門が見えません…どうれば…」
焦っているのか、声が震えている。
滅菌手袋を外した緋山先生が、こちらを見ずに聞いてきた。
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ひな - めっちゃ面白くて最高です！お忙しいと思いますが更新楽しみにしてます！ (2月8日 19時) (
レス) @page42 id: 7bff09c70b (このIDを非表示/違反報告)
murasaki(プロフ) - 初めまして！1番最初から一気に読みました！更新楽しみにしてます (11月30日 21時) (レス) @page42 id: e474591311 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - season1、3を一気に読み、劇場版もあっという間に読んでしまいました。とても感動しました！更新楽しみに待ってます！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: 247691cc0f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています。更新停止のままですが更新されるのでしょうか？ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - とても大好きな作品で、思わず一気読みしてしまいました！更新頑張ってください！応援しています！ (2021年8月2日 8時) (レス) id: 44a0b6bd0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel | 作成日時：2018年11月29日 23時
