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(藍沢)
冬の朝焼けの中、Aが面白そうに白い息を吐き続けている両隣を、白石と緋山が何やってんの、と笑いながらゆっくりと歩いていく。
白のストレートコートにベージュのニットワンピースを着て、足元はレースアップのブーティ。
そのヒールを軽快に鳴らしながら歩いていたAが、何かを見つけたようで嬉しそうにそちらに顔を向けて足早に歩み寄った。
ヘリポートで薄明かりに溶け込むような白い機体。
「結局歩いちゃったね」
「そうね」
そんなことを言いながら、白石と緋山もヘリポートへ自然と足が向く。
Aはその真白い機体に右手を添え、静かに目を閉じていた。
きっと彼女はいま、この10年を思い出しているのだろう。
名残惜しむようにゆるく扉を撫で、振り返った彼女と目が合って、思わず目を細めた。
次にこの機体に乗れる日は、来るのだろうか。
「…あれ？おまえらどうしたんだよ」
よく聞きなれた声が耳に届き、振り返った先には病院のほうから歩いてくる藤川と冴島の姿があった。
「夜勤お疲れさま。
こんな時間になっちゃったし、このままカンファレンスの準備しようかなって」
「おまえら本当に病院好きだな」
ふたりを労う白石の言葉に藤川は呆れて笑うが、その顔はむしろ嬉しそうに思えた。
「医療バカが2人もいるんだからしょうがないわよ」
「…否定できない」
「認めてるのね」
緋山がAの肩に手を置きながらこちらに視線を投げかけてくる。
当のAが諦めたように答えるものだから、冴島が苦笑して慰めるように反対側の肩をぽんぽんと叩いた。
と、彼女が思い出したようにこちらを見る。
「藍沢先生に香坂先生、たしか今日トロントに出発じゃ？」
「ああ、朝のうちに」
「荷物はもう作ってあるから、挨拶だけかな」
「慌ただしいわね」
落ち着いた頃を見計らって、俺の隣でおずおずとトロントに行きます、と小さく告げたAの怯えっぷりといったら。
が、メンバーはそんなことなどお見通しだったかのようにやっぱりな、というような顔をしたものだから、そのあとの彼女の鳩が豆鉄砲をくらったような顔は、当分忘れられそうにない。
「でも楽しみ。
…寂しくなったらいつでも連絡してきなさいよ」
「…うん」
風邪ひくんじゃないわよ、と緋山がAの両頬を挟みながら言う。
これではどちらが寂しがり屋かわからない。
続く (更新停止中)
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ひな - めっちゃ面白くて最高です！お忙しいと思いますが更新楽しみにしてます！ (2月8日 19時) (
レス) @page42 id: 7bff09c70b (このIDを非表示/違反報告)
murasaki(プロフ) - 初めまして！1番最初から一気に読みました！更新楽しみにしてます (11月30日 21時) (レス) @page42 id: e474591311 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - season1、3を一気に読み、劇場版もあっという間に読んでしまいました。とても感動しました！更新楽しみに待ってます！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: 247691cc0f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています。更新停止のままですが更新されるのでしょうか？ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - とても大好きな作品で、思わず一気読みしてしまいました！更新頑張ってください！応援しています！ (2021年8月2日 8時) (レス) id: 44a0b6bd0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel | 作成日時：2018年11月29日 23時
