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(名取)
────みんな、驚かずに聞いてくれ…香坂が、倒れた。
橘先生が翔北へ、初療室へと戻ってきた一同に向かって、神妙な面持ちで静かにそう言った。
藍沢先生の処置を黙々とこなし、彼のストレッチャーをICUへ見送ったのち、その場に膝から崩れ落ちたらしい。
「症状から見るに、過換気症候群だろう。
念のため点滴を打っていまは処置室で眠っている。
が…香坂のことだ、起きたら真っ先に藍沢の元へ行くだろう」
過換気症候群────それは、精神的な不安により過呼吸の状態になり、息苦しさや胸の痛み、めまい、手足の痺れなど様々な症状を引き起こすものだ。
藍沢先生があんなことになってしまって、その処置を彼女自らが行ったのだ────相当こたえたに違いない。
────ご両親のこともあるから、余計に…。
任された患者の処置を滞りなく終え、気がつけば足早に処置室に向かっている自分がいた。
ベッドには左腕から点滴の繋がった香坂先生が、横向きの状態で穏やかに寝息を立てていた。
まるで、先ほどの事故などなかったかのように。
1ヶ月見ない間に短くなっていた髪が頬にかかっている。
それを指ではらいのけてやりながら、夢であればいいのにと思うのは、どうしてだろうか。
この小さな手は、いままでにどれだけの命を救ってきたのだろう。
この小さな身体は、いままでにどれだけの痛みに、言葉に耐えてきたのだろう。
もう十分すぎるほど苦しんだはずだ、それなのに。
それなのにまだ、つらい思いをしなくてはならないのか────。
「………そんなの、…」
やり場のない感情がせり上がってきて、ぐ、と思わず拳を握りしめてうつむいたそのとき、あたたかい指が俺の手に触れた。
「────っ！」
はっとして顔をあげれば、薄茶の瞳にその長いまつ毛が影を落としていた。
点滴の繋がっていない右手で自分の顔のそばにあった俺のわずかに震える拳を、なだめるように力なく撫でてくれていて。
触れているのは指だけなのに、そこから広がってゆくぬくもりが心を満たしていく。
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ひな - めっちゃ面白くて最高です！お忙しいと思いますが更新楽しみにしてます！ (2月8日 19時) (
レス) @page42 id: 7bff09c70b (このIDを非表示/違反報告)
murasaki(プロフ) - 初めまして！1番最初から一気に読みました！更新楽しみにしてます (11月30日 21時) (レス) @page42 id: e474591311 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - season1、3を一気に読み、劇場版もあっという間に読んでしまいました。とても感動しました！更新楽しみに待ってます！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: 247691cc0f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています。更新停止のままですが更新されるのでしょうか？ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - とても大好きな作品で、思わず一気読みしてしまいました！更新頑張ってください！応援しています！ (2021年8月2日 8時) (レス) id: 44a0b6bd0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel | 作成日時：2018年11月29日 23時
