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いましがた買ったばかりの小さな手提げ袋の中を何度も覗いていたら、隣から小さく笑う声が聞こえて顔を上げる。
「子どもみたいだな」
「嬉しいんだもの」
そう返せば照れ隠しか、くしゃりと頭を撫でられて思わず苦笑してしまった。
────子どもはどっちなんだか。
退院手続きを終えた私が今日帰るのは病室ではなく、明日の墓参りの交通ルートを考えて耕作の家に一晩だけお世話になることにした。
「キッチン借りるよー？」
「あぁ」
野菜とハムと卵があったのでそれらを有難く使わせてもらって二人分のオムレツを、少し遅めの夕食を作る。
ごはんが炊ける合間にコーンスープも作ってしまえば、明日の朝食にも使えるだろう────そんなことを考えながら、完成した料理を食卓へ。
「…いただきます」
「召し上がれ」
よくよく思えば人様の家で料理を振る舞うのは、手術を受ける前にお邪魔した恵ちゃんの家で、緋山先生とともに食事をして以来だ。
「うまい」
「ありがと」
耕作の言葉は私を気遣ってのものだというのはわかっているし、とても嬉しいのだけれど、食べられる量にも限界がある。
「…まぁ、向こうではあいつがいるから問題ないか」
耕作が小さくつぶやいた言葉は、シンクの前で洗い物をしている私の耳に届くことはなかった。
･
────おちつく、な…。
ひとりでは決して得ることのできないぬくもり。
はみ出した肩に布団を引き上げて、かすれた声が寒くないかと問うのも、心臓に悪いからやめてほしいと少し思ったりする。
肯定するように顔を枕に押しつければ、繊細な指が髪を梳いていく感覚。
わたしが孤独に涙した夜を打ち消すように、彼は腕をひいてくれた────ひとりは、さみしいと。
そのあたたかさと優しさに胸がいっぱいになって、涙が出そうになったけれど、明日目が腫れるのは困るので必死に堪える。
お互い、変なところで臆病なのは知っている。
心ではこんなにも思っているのに。
伝えたいことを、どうすれば伝えられるかも知っているのに。
「……こ、…さ…────」
あぁだめ、もうまぶたが重い。
梳かれていた髪がいつのまにか撫でられていることに気づいたとき、意識はまどろみの中へ静かに落ちていった。
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ひな - めっちゃ面白くて最高です！お忙しいと思いますが更新楽しみにしてます！ (2月8日 19時) (
レス) @page42 id: 7bff09c70b (このIDを非表示/違反報告)
murasaki(プロフ) - 初めまして！1番最初から一気に読みました！更新楽しみにしてます (11月30日 21時) (レス) @page42 id: e474591311 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - season1、3を一気に読み、劇場版もあっという間に読んでしまいました。とても感動しました！更新楽しみに待ってます！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: 247691cc0f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています。更新停止のままですが更新されるのでしょうか？ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - とても大好きな作品で、思わず一気読みしてしまいました！更新頑張ってください！応援しています！ (2021年8月2日 8時) (レス) id: 44a0b6bd0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel | 作成日時：2018年11月29日 23時
