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「私も、…この感触わすれない。
────ずっと」
「……あぁ」
そう、あまりにも真剣な顔で返事をした藤川先生に、美樹ちゃんは吹き出した。
「マジ顔すぎ」
「…、ははっ」
その声が、ほんのわずかに震えていたのに気づいていたのは、きっと私だけ。
でも、あえて何も言わない。
ただ、安心させるように、寄り添うように。
私は、美樹ちゃんの頭を優しく撫でていた。
それ以上、何もしてあげられなかった自分が。
────無力だと、心は叫んでいる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(藍沢)
外に飛び出した俺を迎え入れたのは、日に日に強くなる夏の日差し。
耳をつんざくエンジン音、高鳴る鼓動が、柄にもなく緊張していることを伝えてくる。
だが、それよりもこの身を疼かせるのは、高揚感。
────これが、あいつの見ていた景色。
俺よりも、俺たちよりも早くに、あいつはこの景色を見て、この感覚に包まれて。
何を思ったのだろう。
ただ純粋に、消えかける命を救いたい？
何を聞いたのだろう。
生きたいと叫ぶ、患者の声なき声を？
「こちら翔北ドクターヘリ。
受傷機転とバイタルサインを知らせてください」
『19歳の男性、右前腕を機会に巻き込まれ、救出難航しています』
無線から聞こえてきた救急隊員の声を、俺は静かに聞いていた。
黒田先生と、フライトナースの冴島が俺を一瞥したが、特になにも思うことはなかった。
現場となった工場は作業員であふれていた。
人の波をかきわけ、患者の元へ駆け寄る。
「どんな感じ？」
「血圧80の40、呼吸数22です」
無惨にも機械に巻き込まれた右腕を見やり、脈を確認するため左手首を手に取った。
「…ショック状態ですね。
静脈確保の準備、それからFAST」
「はい」
てきぱきと冴島にも指示を飛ばしていると、患者の状態を確認していた黒田先生が口を開く。
「右上腕骨までいってるな」
「胸部損傷もありそうですね」
そう返すものの、もちろん返事はない。
「救出まで何分？」
「あと60分はかかりますね」
「はい…彼の名前は？」
「坂本一樹さん、19歳────」
「坂本さん、聞こえますか？
いまから呼吸の音聞きますから」
救急隊員の返答にほぼ被せるようにして呼びかけていく黒田先生は、さすがと言うべきだろうか。
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ほち(プロフ) - 続きとても気になります……！更新待ってます…！ (2月14日 9時) (
レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 572aeb701d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月24日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 続きが…気になります！！ (2019年6月21日 2時) (レス) id: 11609052e1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - シリーズとても面白くて、1日で読み終えてしまいました！この小説でのコードブルーがとても好きになりました！ちなみに、劇場版は書かれたりするんでしょうか？お忙しいと思いますが、作成されたら飛んで読みに来ます！頑張ってください！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 132fe7823f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2018年4月4日 15時
