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(白石)
目の前で行われていく迅速でミスひとつない手さばきのオペ────執刀は、黒田先生だ。
「白石もっと開いて」
「はい」
そう指示され、手を動かす。
後方には、手持ち無沙汰でオペを退屈そうに見守る藤川先生がいる。
意外だったのは、香坂先生が私と藍沢先生に助手をほぼ任せたことだった。
現に彼女はいま、糸を指に絡めている────。
────…え、糸…？
「よし…洗浄して閉腹、以上。
あとよろしく」
「はい」
クーパで糸を切り、術野から離れた黒田先生は、後の処理を森本先生に任せる。
「おまえら良かったな、いいもんが見れるぞ」
「ちょ、森本先生やめてくださいよ…」
黒田先生と入れ替わるようにして藍沢先生の隣に立った香坂先生が、いささか不満そうな声をあげて森本先生を見た。
「ほら、むくれてないでいつものやるんだぞ」
「わかってますよ…」
そのとき、困ったように囁きあっていた看護師ふたりに、黒田先生がどうした？と声をかける。
「508号室の栗山美樹さん、CTを嫌がってて…」
「おぅ、あのわがまま娘め」
生理食塩水の容器を傾けながら、森本先生が呆れたようにそう言う。
黒田先生はちらりと香坂先生に視線をくれた後、手袋を外しながら口を開いた。
「藍沢行け」
「はい」
「それが…」
「なんだ？」
ナースが申し訳なさそうに眉を寄せた。
「藍沢先生はだめだって…。
香坂先生か、背の低い、眼鏡の先生じゃなきゃ、嫌だって言ってます。
じゃなきゃ、検査は絶対受けないって言ってます」
皆の視線が揃って香坂先生へ、そして彼女もまた、藤川先生のほうへと首を回した。
「おいおいおいおい…。
ずいぶん信頼されちゃってるんだなぁ」
「…わかった、行け」
「はい！」
────嬉しそう…すっごく、嬉しそう…。
「おまえらふたり、香坂の縫合終わったら患者連れて、頭部のCT行け。
あとで俺も行く」
「はい」
「はい。
女性ですし、皮下埋没にしておきますね」
「あぁ」
さらりと難しい縫合名を口にして手を進めている香坂先生と、その隣に立つ藍沢先生に近づいた藤川先生が、上機嫌に顔をほころばせた。
「悪いね、君も気に入られてるみたいだけどさ、1歩リード！」
「……いや、そういう理由じゃ…ないと思うけどなぁ」
ぽつり、とこぼした香坂先生が、息を吐いた。
「────縫合完了です」
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ほち(プロフ) - 続きとても気になります……！更新待ってます…！ (2月14日 9時) (
レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 572aeb701d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月24日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 続きが…気になります！！ (2019年6月21日 2時) (レス) id: 11609052e1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - シリーズとても面白くて、1日で読み終えてしまいました！この小説でのコードブルーがとても好きになりました！ちなみに、劇場版は書かれたりするんでしょうか？お忙しいと思いますが、作成されたら飛んで読みに来ます！頑張ってください！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 132fe7823f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2018年4月4日 15時
