-28日目- ページ16
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(藤川)
スタッフステーションから見る院内は、相変わらず忙しない。
事故が起こる、ということが当たり前の環境に身を置いているせいか、大規模な出動がないということに落ち着かない自分と、肩の荷を下ろしている自分がいる。
「…ま、何事もねぇのが一番良いけどなぁ」
「何か言った？」
「今日も世界は平和ですって言った」
フライトナースの冷たい視線を背中に受けながら、もう少しAに対する態度を俺にも分けてくれよ、と思わんでもない。
「そういえばあいつ、今日個室に移るんだってな。
リハビリも順調みたいだし」
「さっきロビーの方に歩いていくのが見えたわ。
かなりゆっくりだったけど、それでも1ヶ月でここまで戻すなんて。
…誰かさんのおかげね」
「へへっ、そりゃあ早く戻ってきて欲しいからな」
リハビリテーション科と整形外科が手を組んでいるため、回復は極めて順調に進んでいるのだった。
A本人の回復力の高さも合わさっているが。
得意げに胸を張ったとき、胸元のPHS端末が着信を告げた。
「はい、藤川です」
『正面玄関受付です。
あの、車椅子から立ち上がって歩きだそうとした患者さんが、急に倒れられて…！』
焦っている受付の女性の声が聞こえてきて、とっさに周りのチームメイトにも聞こえるよう、スピーカーをオンにする。
「救命の緋山です、症状を教えてください」
すぐさま俺の周りに集まってくれた緋山が、詳しい状態を聞こうと連絡を仰いだ。
後ろには藍沢も控えている。
と、何やら人々の騒ぎ声が耳に届き、次いで「患者様…！？」と再び驚いた声音が。
そして、今度は鈴を転がしたような、凛として耳によく馴染んだ────
『60代男性。
発熱に腹痛に嘔吐。
それに激しい腰痛────確証はないけど…』
急性膵炎。
その言葉を聞く前に駆け出した、藍沢の横顔と言ったら。
「ったく…どこまで歩きに行ってんのよ！」
『職業病つい…すいません』
頭に怒りマークをつけながら、緋山が一括する。
電話口の向こうで苦笑いしているであろうあいつを思い浮かべながら、俺とはるかは患者の元へ、緋山は準備のため初療室へ足を向けるのだった。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁
青い鳥さん
鍵つきですが、宜しければ覗きに来てみてくださいね。
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りりり(プロフ) - とても楽しませて頂いております。ひとつ気になったのですが、32ページの副題「At the Xintiandi.」だと上海の新天地という地区を指してしまうのではないでしょうか。意図されての事でしたらごめんなさい。 (2018年9月17日 8時) (
レス) id: 539d09e6a1 (このIDを非表示/違反報告)
ffchr09(プロフ) - もう読み終えているのに読み返したくなります。私も秋生まれ天秤座なので、作品にのめりこんでしまいました。お忙しいと思いますが、劇場版も楽しみにしています。 (2018年9月16日 14時) (レス) id: 3038f6a4cb (このIDを非表示/違反報告)
憂依 - 2日間で読み込んでしまいました。読み進めてくほど、感動しました。雰囲気に浸りたくてBGMはずっとHANABIを聴きながら...笑 素敵な作品ありがとうございました。劇場版...お忙しいとは思いますが、楽しみにしてます。 (2018年8月15日 8時) (レス) id: 8dc691da23 (このIDを非表示/違反報告)
S - 最高に面白い作品をありがとうございました！香坂先生の続きのお話しが是非是非読みたいです！香坂先生ロスで泣けます。素晴らしい作品をありがとうございました！！ (2018年8月5日 10時) (レス) id: 223a468b93 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - 最高の作品でした！ (2018年7月1日 1時) (レス) id: 53269475bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月27日 0時
