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「あーいや、でもそのおかげて、やっとチームに貢献できるようになったんですよ。
昔は、俺にパスよこせ、何とかしてやるからって…そんなプレーばっか。
…いまは、パスを出す面白さも覚えた。
仲間の良さを引き出す楽しさも知った。
────いまは、チームでプレーするのが楽しい」
「そう、ですか…」
きっとそのときのAは、どう答えて良いのか分からなかったのだろう。
わずかに微笑んで、それきり目を伏せてしまっていた。
────昔の自分に、重ねてるんだ。
思い出せない、昔の自分に。
そしてまた、その心に、小さな傷を作っていく。
小さな傷から流れるわずかな血が、自らの手を染めていくまで。
「これからなんですよ、俺は…！
だから先生、早く治してください」
「もちろんです」
大きく頷いたAが浮かべたやわらかな笑みに、両角さんの空気も穏やかになる。
────彼女は、気がつかない。
その笑顔に、どれだけの人が救われているのかを。
彼女は、知らない。
その存在を、自分の目標や夢ををなげうってまで、守りたいと思うひとの、存在に。
3人でスタッフステーションに戻ると、藤川先生がにこやかに話しかけてきた。
Aは、バインダーに挟まれた書類に目を通しながら、その声を聞いている。
「優輔くん、ドナー見つかったって。
────あっ、優輔くんてのは、香坂が人一倍気にかけてた、橘先生の息子さんなんだけどな」
「はい、最近思い出しました。
良かったですよね。
今日は朝から3人も助かったし」
「…お前のおかげだな」
心なしか嬉しそうな藍沢先生の声に、Aはそんなことないですよ、と苦笑を浮かべて緋山先生の隣に腰を下ろした。
────さり気ないところで、似てるんだもん。
ふとしたときの仕草や表情、いまの謙遜癖のように。
だからこんなにも、胸の奥が苦しくなる────。
「あのさ、あたしもちょっといいことあったの」
「なに？」
隣のAも、聞かせてくださいと言わんばかりの笑顔を向けている。
「周産期医療センターに戻ってきてほしいって言われたの、医局長として。
どう思う？」
「医局長!?」
「すごい…！」
皆がそれぞれ歩んできた10年越しの軌跡が、いま、大きな形となって生み出されようとしている。
緋山先生は医局長、藍沢先生はトロント大学。
────Aは、どうするんだろう。
そんな疑問が、ふと心に浮かんだ。
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リラン(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！読むたびに次をもとめてしまう！今後も期待してます！話は変わりますが、少年陰陽師読んだことありますか？何となく文が似ている所があってずっと気になっていたんです。急に質問すみません。もし知らないのであれば申し訳ないのですが… (2019年2月12日 12時) (
レス) id: c050d878db (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 18、大大抵ではなく、大抵では？ (2018年7月4日 20時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
鈴子 - コードブルー好きにはたまらないね\^-^/ (2017年10月14日 21時) (レス) id: bbbfeb8862 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！更新される度に続きが気になって気になって！最終回、楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2017年9月19日 23時) (レス) id: e98d2ab7a8 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢せんせすき - 面白すぎます笑楽しみにしてるので更新頑張ってください^ ^ (2017年9月19日 22時) (レス) id: 0944e50e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月12日 0時
