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(香坂)
かずさ七夕まつりが商店街で行われている。
「おねえさんは七夕のお願いごと、何にする?」
「そうだなぁ。
夏バテせずに今年も乗り切れますようにって書こうかな」
お願いがやけに年寄り臭いって?
気のせい気のせい。
私はその救護員として来て欲しいと町内会より要請があったので、こうして周りに小さい子供たちを連れて、熱中症などの症状に気をつけながら一緒に回っている、そんな状態だった。
橘先生に確認を取れば、久々の日本の祭りだろ?少しくらい羽を伸ばしてくればいい、と了承しているようで、少し混乱した。
────いいのかなぁ…こんな半分休みみたいな役割頂いちゃって。
「頭痛かったり、気分悪いひとー?」
「だいじょうぶー!」
うーん、やっぱり子どもって可愛い。
「あ、おっきいのがきたー!」
「あれはね、
「へぇー!」
「おねえさん何でも知ってるんだね!」
「ふふふ、なんでも聞きたまえ」
なんて言ったりするのだから、今日の私、かなり浮かれている。
「おいおい、なんか傾いてないか?」
「大丈夫かしら…」
がやがやと騒がしい周りの人々の声に、子どもたちに合わせていた視線をあげる。
顔をあげた私は、見た。
「………え?」
────あの大きな山車が、激しい音を立てて民家に突っ込む瞬間を。
「…っ!走って!私から離れて!」
すぐさま声を張り上げ、子どもたちの安全を第一に行動する。離れて見ていた大人の方に、あるいは保護者の元に一目散に駆けていく。
逃げ惑う人々のなかに、道の真ん中で道路に転がっている女の子を捉えた。
突っ込んだ山車がその重さに耐えきれず、木片を撒き散らしながらゆっくりと傾き始めている。
足を叱咤して立ち上がり、駆け寄ってその子を抱え込むようにして起こす。
膝から血が出ていた。
良かった、転んだだけか。
「後で手当してあげるからね」
「うん…!」
泣きじゃくりながら縋りついてくる女の子の元に、母親とおぼしき人が駆け寄ってくる。
「膝の怪我、流水で洗ってこれを」
ウエストポーチに入れていた大きめの絆創膏を渡して、自分も立ち上がろうとした時だった。
周りの人々が、悲鳴をあげながら上を見上げたのは。
「おねえさん!」
「え……────」
女の子の声に振り返ろうとした直後、背中に凄まじい衝撃が走ったのは。
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時