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「藤川だって最近は、ろくに家に帰れてないだろ。
フェローたちの教育もあるし…なぁ?」
橘先生が、ぱんと、沈んだ空気を取り払うように1回手を叩く。
「そこでだ!
緋山が、なんと救命に戻ってきてくれた!
周産期医療の勉強を中断して、だ。
いや、本当に感謝しているよ」
その言葉に、緋山先生は静かにお辞儀をする。
「それでも戦力はまだ足りないんだよなぁ。
香坂は今日みたいに呼ばなくても来てくれるが、如何せんこいつはほかの医師からの信頼も高いからな、すぐに抜けれるわけじゃないし、どうしても来れない時だって多々ある」
「…すみません」
いや、今日は状態も悪かった、気にするなと言って、橘先生は私の肩に置いていた手をするりと離す。
「タフに患者に向き合える医者じゃないとさぁ、ねぇ?うん…」
そう言いながら、彼は耕作に近づいていく。
くるり、と耕作も橘先生に向き直った。
「………戻ってこないか。
香坂と一緒に」
────え……私?
それは、祈りのように紡がれた、彼らの思いだった。
痛いほどそれがわかって、思わず耕作に視線を向ける。
彼が戻るって言ったら、私はどうするの?
どうしたいの────?
皆の期待が高まった中、耕作は静かに答えた。
「────すいません。
救命に戻るつもりはありません」
そう言って彼はそのまま、パソコンの画面と向き合う。
相変わらず、クールで無愛想で変わらない。
でも今、ひとつ決めたことがある。
「橘先生。
私、持てる全霊のトークスキルを使って、ちょっとアクションしてみようと思います」
「うんうん。
…ってんん!?香坂、何するか分からんが、頼むから無茶だけはするなよ!」
私はあるひとつの決意を胸に、初療室のドアをくぐった。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁
作者です。
現場の描写は難しいですね。課題もりもりです。
さて、主ちゃん何をするつもりですかね?
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時