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「さて、香坂」

「はい」


耕作を少し気にかけつつ、西条さんに呼ばれて身体ごとそちらに向き直る。



「帰ってきたばっかで悪いんだが、トロント大学が臨床医師としての推薦候補にお前を上げている。

出来ればうちも優秀な人材を送りたいと考えている」



後ろのふたりがはっと息を呑むのが伝わってくる。



「定員は…」

「1人だ。

ここにいる藍沢と新海、そしてお前の中から秋までには決めたい」



トロント大学かぁ。



確かに技術は高いけどまた飛ばされるのかなぁ。



あれ、でも確かあそこって特に脳外科の技術が凄いところだよね?



私、一応専門は脳外科じゃなくて、循環器内科だったんだけどな。



LA(あっち)で転向したから。



元々救命でそつなくこなしてたから、みんなからはオールマイティだなんて言われてたっけ。



このことを知っているのは、黒田先生だけだ。



というか向こうは何で私が翔北にいるのを知ってるんだろう、帰ってきたの今朝なのに。



しばらく思案にふけっていた私は、すっと顔を上げた。



「嬉しい話ですが、今すぐには…」



ずっと飛び回ってきた。



今は少し翼を休めたい。



どこにしようか迷って、気がついたらここに足を進めていた。



やっぱりいいところだと思う、翔北は。



「それに、ある特定の分野に長けていない私が行くより、ふたりの方が脳外科医として優れていると思います。

彼らを優先して推薦しては頂けませんか?」

「香坂…、その謙遜癖は変わらずだな。

お前だって充分いい腕を持っている。

ほかの医師にはない、確かな才能だ。

だからもっと自信を持て。

いいな?」

「…善処します」



7年前にも、西条先生や黒田先生とこんな会話をしたような記憶がある。



「こんなチャンス滅多とないからな。

少しでも気が向いたらいつでも来てくれよ」

「はい、わかりました」

「それと藍沢、こいつの謙遜癖、治してやれ」

「出来るならとっくにしてますよ」



静かにお辞儀をして、私は立ち上がった。



夕日に照らされた髪が艶やかに輝いて、後ろのふたりが息を止めたことも知らずに。



「耕作、案内してくれてありがとね。

戻る?残る?」

「…戻る」

「ん。

新海先生、明日からお世話になります」

「最初は俺のサポ頼むわ」

「了解です、先輩」



にこやかに笑って、私たちは部長室を後にした。

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作品ジャンル:恋愛
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時

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