壊れかけのスノードーム

一日遅れのプレゼント　ini ページ4

今日は12月26日土曜日午前2時13分。クリスマスが終わってから2時間ちょっと。

一緒に過ごす彼氏も友人もいなかった私は正真正銘のクリぼっちを過ごしていた。

友人たちは皆彼氏と一緒にキャッキャウフフしていたらしい。｢見て〜〜〜｣なんて言って彼氏から貰ったプレゼントの写真やら食事が美味しかったやら報告をしてくる。

私に対する嫌味だろうか、と思う程に。


『私だってクリスマス一緒に過ごしてくれる彼氏が欲しかったよ〜』


まぁ来年こそ彼氏と楽しんでやろう。…あれ、このセリフ去年も言ってた気がする。ダメじゃん私。

こんなん考えてても虚しいだけだ。もう寝よ。クリスマスなんて私には関係なかったんだ。うん、そうだよ。別にキリスト教ではないし。

なんて考えて寝る準備を整えてもう寝るだけだった時。


『誰…』


私の睡眠を邪魔するかのように電話がなった。


｢もしもし｣

『もしもし、どったの乾』


そう、電話の相手は大学の同級生である乾。なんだ、こいつも私にクリスマス自慢をするのだろうか。


｢メリークリスマス｣

『メリークリスマス。まぁもう終わったけど』

｢そんな事言うなよ！｣

『んで？この時間に電話してきたってことは何か用事あるんじゃないの？』


というかくだらん話だったら許さん。私の睡眠を邪魔するだけの用事があるのだろうな？


｢え、いやどうやってクリスマス過ごしてたのかなって｣

『は？それだけのために電話してきたの？』

｢え、いやまぁ…。ってかなんでそんなにキレてんの｣

『一日中友達からの惚気を聞かされ続けたクリぼっちの気持ちがお主にわかるのか？？』

｢……いや、悪かったって｣

『許す』


こいつも惚気けるために電話してきたのか。許さん。もう許したけど。


｢ねぇ少し家の外出てきてよ｣

『え、寒いしパジャマだし無理』

｢少しでいいから｣

『面倒くさいなぁ…』


なんて言いながら玄関の扉を開く。


｢メリークリスマス、A｣


目の前にいる乾の声と携帯の中から聞こえてくる乾の声が微妙にずれて聞こえる。


｢はい、遅くなったけどクリスマスプレゼント｣

『え、なんで…』

｢俺があげたくなっちゃったから。遅くにごめんね、おやすみ｣


と言って立ち去る乾。

サンタ帽なんて被ってなかったけど、プレゼントを渡して帰って行く姿はサンタのようだった。

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