壊れかけのスノードーム

涙をパレットにのせて　fkr ページ17

｢好きです、俺と付き合ってください｣

『…まだあなたのことがよく分からないのでお友達から、』

｢じゃあこれから本気で落としにいくね｣

『…はい』


なんて会話をしたのが2ヶ月前。私にとってのお友達から、なんてごめんなさいとニアリーイコールなもので、適度に一線を引いた関係を続けていたら勝手に向こうから離れていってくれて何もなかったことになる。

…のに、今回はそうはいかなかった。私がどれだけ距離をとろうとしてもそれを許してはくれない。時間があれば食事に誘われるし、ふとした時に美味しそうなお菓子もくれる。休憩中に隣でお話する機会も増えた。

だから、そのせいだ。私が福良さんを好きになってしまったのは。

好きになるつもりなんてなかったし、好きになるなんて思ってもいなかった。でも福良さんとお話したりお食事したりする度に福良さんの素敵なところばかり目に留まるようになって気がついた時にはもう引き返せない所まできていた。

こんなことは初めてでどんな対応をすればいいのか分からない。私から告白すればいいのか、それとも向こうから言われるのを待つべきなのか。

ここ最近は今日こそ伝える、なんて実行できもしない目標を立てて機会を伺っている。今日こそ言わなきゃいけない、なんて何度目か分からない思いで席を立つ。

この時間帯なら福良さんはお昼休憩に入るはず、その時に一緒にご飯でも食べて伝えよう、なんて考えながら福良さんを探す。すぐに見つかった福良さんは何やら女の子と2人きりで。


『福良さ…』

｢好きです、私と付き合ってください！｣


なんて声が聞こえてくるなんて想像もしていなかった。いや、分かっていただろう。

私が彼と話している時に必ず感じる視線、私が彼を見ている時に交わる視線もその行動全てもが彼を好きだと雄弁に語っていて。


｢…えっと｣


彼の返事が怖い。私が待たせすぎたからもう私なんて好きじゃないかもしれない。彼とぶつかりかけた視線を逸らしてその場を立ち去った。

左目から溢れ落ちてしまいそうな涙には気が付かないフリをしたままで。





ともだちごっこ

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