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15分程度で彼女との待ち合わせ場所に到着した。恐らくオフィスからここまで来るのにかかる時間の最短記録を更新しただろう。
彼女は僕を見つけると
『山本くん!』
と向日葵のような笑顔を咲かせた。
「ごめんね、急に呼び出しちゃって」
『大丈夫だよ、山本くんこそ大丈夫なの?』
「まぁ色々あってね。少し歩こう」
『うん?』
と言って僕たちはあてがあるわけでもなく歩きだした。僕の顔が少し強ばっていたのか、Aちゃんが僕のことを心配そうに見つめてきた。
『ねぇ山本くん、どうかしたの?』
「……あのさ、僕、見ちゃったんだよね」
『何を?』
「Aちゃんが他の男の人と二人で仲良さそうに歩いてるところ」
『…え?』
「ねぇ、Aちゃんは僕よりもその人のこと好きになっちゃったの?」
「僕、他の男の人よりも身長も低いしそんなに格好よくもない。…でも!Aちゃんのことが誰よりも大好きなんだ」
そこまで言ってはっとした。少し感情的になってしまっていた。彼女の様子を伺うことも怖くて出来ない。
『あのね、山本くん』
『私は山本くんのこと大好きだよ。今日山本くんが見たのは高校の同級生と歩いているところじゃないかな。今日みんなで集まってたの』
ほら、と言って彼女が差し出したスマホの画面には、今日僕がみた男の人を含めて男女10人位が笑顔で映っている写真があった。
『安心できた?』
「…うん」
その時僕の手に持っていたスマホにピロンと通知が来て、偶然にも目にそれが入った。
「彼氏さんの呼び出しなんだったの〜?」
「こっちは今からカラオケに行くね〜。来れそうだったら来てね」
固まってしまった僕を見て、どうかしたの〜?と聞いてきた彼女は僕が連絡の内容を見てしまったことに気がついてあわあわし始めた。
「もしかして、まだみんなで集まってる途中だったのに僕に会いに来てくれたの…?」
『え、えっと〜…。でも!私はもうそろそろ抜けようと思ってたところだったし!そう、だから大丈夫!』
「ごめんね、僕のせいで。みんなと会ってたのにね。…カラオケ行ってきたら?せっかくみんなで集まってるんだから」
『んーん、今日はもう少し山本くんといたいなぁ…、だめ?』
と言って僕を上目遣いに見てくる。そんなお願いを断れる訳がないので、返事のかわりにきつく手を握った。
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音穏(プロフ) - 葉月さん» そう言って貰えて良かったです!!更新遅くなってしまって本当に申し訳なかったです。これからもよろしくお願いします!! (2021年3月14日 20時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - わざわざ書いていただいてありがとうございます!!めちゃくちゃキュンとしました!!!ほんとにありがとうございました!これからも読まさせていただきますね! (2021年3月14日 2時) (レス) id: 17b218ff81 (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - ゐもてゃんさん» ゐもてゃんさん初めまして!そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます!リクエストの方了解しました!順番に書いていきますので少々お待ちくださいー! (2021年2月27日 7時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - ちひろさん» リクエスト頂いてから公開までが本っ当に遅くなっちゃいました。ごめんなさい!!!ちひろさんに面白かったと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございました!また何かあればどうぞ! (2021年2月27日 7時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
ゐもてゃん(プロフ) - はじめまして!音穏さんの書き方とてもすきで前作から読ませてもらってます◎リクエストなんですけど、『wtnbさんと付き合っていて、QKメンバーと夢主ちゃんが浮気ドッキリ』お願いできますか...?もっと我儘をいうと、ドッキリのお相手はfkrさんがいいです...! (2021年2月26日 21時) (レス) id: e6d594b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音穏 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年12月23日 10時