壊れかけのスノードーム

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今日はクリスマスイブ。去年の今日という日は当たり前のように来年の今日があると信じて疑わなかった。

でも現実とはそんな考えとは裏腹に進んでいくもので。あれ以来彼とは連絡を取り合っていないから今日の約束なんてしているはずもなく。

でも、正直に言って彼と一緒に過ごしたいのか、と問われると素直に頷くことができない自分がいた。

なんだ、彼からの愛情を感じられなくなったのではない。私が受け取ろうと思わなくなっていただけではないか。

だからきっとあの日私は彼と目を合わせることができなくて目を逸らしてしまったのだろう。

クリスマスイブにする話でもないかもしれないけど、そう思いながら彼と話をするために彼の家に向かう準備を始めた。



｢…急に来られるのは困るな。どうしたの｣

『話がしたくて』


準備を終えた私は彼に連絡をするでもなく家に押しかけた。


｢…入って｣

『お邪魔します』


相変わらず落ち着いた色合いで必要最低限のものだけが置かれている部屋。適当な場所に腰を下ろすと二人分の飲み物を入れて持ってきてくれた彼が私の正面に座った。


｢話って何、別れ話？｣

『…うん』


なぜ分かったのか、なんて野暮なことは聞かない。お互いがお互いに愛情を求めていないのだからわかるのも当然だろう。


『前に拓哉と出かけた時に私のこと好き？なんて聞いたけど私が拓哉からの愛情を受け取ろうとしてなかっただけだった』

｢うん｣

『もうお互い好きじゃないんだったら別れよう。その方がお互いのためだよ』

｢…分かったよ。｣


自分でこの話をしておきながら声が震えていたと思う。それに、別れることに対してあっさりと同意されたのも少し悲しかった。

その後少し会話を交わしてから彼の家を出て自分の家に帰ってきた。

ちょうど去年の今日に貰ったスノードームを片付けようと思って手を伸ばしたら、机からスノードームが落ちてしまった。

ガシャンというガラスの割れた音にならって床の上を見る。

床の上には割れたガラスの破片、中にいたマスコット、純白の雪、それに反比例するかのような穢れた私の涙が落ちていた。

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