青春をガラス瓶に詰めたなら

彼女の振り向かせ方　izw ページ44

突然だが俺の彼女は超かっこいい。


大学時代の先輩で俺がアタックしてアタックして猛烈にアタックしてようやく付き合えた。


元々サバサバしていて俺よりもかっこいいところはあったが、ココ最近特に磨きがかかったと思う。


現に今日だって俺の仕事が珍しく一日オフでAさんと二人で一緒に、たまにイチャイチャなんかもしちゃったりして過ごそうと思ってたのに。Aさんはそんな俺のことなんか一切気にもとめずに本とにらめっこしている。


｢ねー、まだかかる？｣
『んー、あとちょっと』


もう何度目かも分からないこの会話。本来ならこれは彼女の台詞かもしれないが俺たちの間だと割と見慣れた光景だったりする。


俺としては？たまの休みくらい彼氏に構ってもいいと思うんですよ。いや、本当に。


もうこうなったら絶対に構わせてやろうか。


｢ねー構って｣
『後でねー』
｢ねーってば｣
『…』


ついに返事すらしてくれなくなった。


『…ちょっと拓司、かまちょが過ぎる』


抱きついたのにびっくりした様子も嬉しそうな様子も見せずにそれだけ言って俺を追い払おうとする。


なんだか俺だけがAさんのことを好きで、Aさんは俺のことを好きじゃなくなったのかと思えてくる。


『…拓司？どうかしたの？』


と心配そうな彼女の顔が俺を覗く。気が付かないうちにAさんのことを強く抱きしめていたらしい。


｢いや、どうしたらAさんが構ってくれるかなって｣


本当の理由なんて話せないし話す気もないから適当にはぐらかす。


『も〜…』


なんて言ってこっちをくるりと振り返ったAは俺の唇にキスを落とした。


『あと20ページ位で読み終わるからそれまでもう少しだけ待って？』


そしたらいっぱいイチャイチャしよ？なんて首をかしげながら言ってくるのは確信犯だろう。可愛すぎて好きが溢れる、まじで。


｢…俺のお願い全部聞いてね？｣
『…お手柔らかにね』


なんて言うからあと少し我慢して待っていようじゃないか。





＊

お久しぶりです、音穏です。
更新遅くなってしまい申し訳ございません。

今後は今より早く更新できそうなので次のお話もお楽しみに！

(長編も頑張ってますのでもう少しお待ちを…！)

☆ページをめくる、思いを紡ぐ　izw→←恋心は時間にのせて　ko-chan

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す