【wrwrd】え、幹部??……逃げてもいいすか【男主】

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喋ってはいるものの、足を止めないどころか振り返る事すらしない俺を見て諦めたのか
緑パーカーは再び足を動かし始めた。チッ。

『……そのまま永遠にそこにいたらよかったのに』

「おい、聞こえとるからな」

え、まじ?
……俺は何も言ってませんよ。

『僕の言葉なんざ戯言だとでも思っといてくださいよ。
つまり、気にしないでください。んじゃ』

いくら短い間とはいえど、アイツは止まっていた。
俺との距離も結構あるし、頑張ったら撒けるだろ。
…なんて楽観的に考えていた自分を殴り飛ばしたい。おい、ここ座れや。

アイツを撒くためにスピードを上げたってのに距離の差は広がらず、どちらかというと縮まってきている。

…速すぎ。体力おかしいだろ。

俺自身はというともうヘトヘトだし、気力でどうにかしていた体中の痛みが邪魔になってきた。
疲労が表に出始めたら限界が近い証。
昔、じっちゃんに言われた言葉を今更思い出す。
だからってどうにかなるわけでもなく、走る。

いつの間にか、銃声は鳴り止んでいた。
いつ消えたっけ。
……思い出せない。本当にやばいな。
早いとこアイツを撒かないと、ぶっ倒れてまた捕まる。
やっぱ武器無いのが痛いなぁ……
森の中に武器が落ちてる筈はなけど、ついつい見てしまう。

「…何をキョロキョロしとん」

…見られてたらしい。うわ恥ず。

『珍しいものが多いんで、ちょっと気になっただけです』

苦し紛れの嘘。キョロキョロしてるとかどこの子供だよ。

走るのは好きじゃない。息が吸いにくいし。
だから普段の練習とか、ちょっと誤魔化してたんだけど……完全にそれが裏目に出たな。

練習って大事だわ、うん。

うっすらぼやけてきた視界で周りを見渡しながら小さく反省。
背後からは息遣いが微かに聞こえる程近づいている緑パーカー野郎。
え、もうここまで来てんのか?
ここまで来ると若干引く。怖すぎ。

グイッ

肩を掴まれた、と思ったらポスンと何かに当たる感触。

ん?何が起きた??
突然の事で理解が追い付かない。
肩を掴んだのは多分、緑パーカー。
えっと、んじゃこれは……?

「んふっ、捕まえたで」

頭上から声。あれ、なんか既視感。
恐る恐る顔を上げると、満足げな顔の緑パーカーが。

あ……(察し)

俺はどうやらコイツの腕の中らしい。
え、捕まってんじゃん俺。やばいじゃん。
事の重大さに気づいて激しくもがくも、コイツはビクともしない。
…筋力の差かな。細いから全然力が無いんだよなぁ、俺。

え、死ぬの?

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