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「……停めてください」
私の言葉に、隣に座っていた先生が怪訝な顔をした。
「車、停めてください。降ろしてください」
私はもう一度言った。
「弟が……弟が泣いてるんです」
駿佑のもとに行かなければいけないと思った。
泣きじゃくるあの子を抱き締め、背中を撫で、マフラーを巻き直してやらなくてはいけない。
だってもうこの世には、あの子にそうしてやれるのは私しかいないのだ。
私は弟が泣く姿を見たくなかった。
それを見るのが、どんなことよりも辛かった。
だから自分を犠牲にしても生きていられた。
それなのに駿佑は今、私のせいで泣いている。
私は何を間違えてしまったのだろう。
「駿ちゃん」
シートベルトを外した。先生が慌てて私の肩を押さえる。
「落ち着きなさい。体に障るで」
「離してっ」
シートの後ろに身を乗り出した。「駿ちゃん、駿ちゃん！」
狂ったように何度も弟の名前を叫んだ。
駿佑が泣いている。
ひとりぼっちで泣いている。
守らなければならないと思った。
あの子には私しかいないのだ。
「駿ちゃん……」
もう届くはずのない駿佑の泣き声が、耳にこだまする。
その声が、生まれることのない子供の泣き声と重なって聞こえた気がした。
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真澄(プロフ) - 爽さん» ありがとうございます！早く明るい話に持って行けるように頑張りますね！ (2021年10月20日 21時) (
レス) id: aa6f36c2c4 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ありがとうございます！次も気になって仕方ないです (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: 3c9be1cb24 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» 伏線はすごく頑張って敷いているので嬉しいです。本当に救ってあげて欲しいですね( ；∀；) (2021年10月1日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 改めて最初から読み返すと色々な伏線があって、すごく納得しました。切ない苦しい思いを抱える主人公を、大我さん救ってあげて、、！という気持ちで続きを待っています。 (2021年9月29日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» 恐縮です！ありがとうございます😂 (2021年9月24日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年8月17日 11時
