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『今夜、オリオン座流星群のピークだって』
電話の向こうで北斗くんが言った。
つられて夜空を見上げる。
『たまには星でも見てゆっくりしてね』
Aちゃん最近がんばってるから、と北斗くんの笑い声がする。
柔らかなその口調に、肩の力がふっと抜けた気がした。
「……駿ちゃんと見ようかな」
やっぱり北斗くんは優しい。
私のことをいつも分かってくれる男の子だと思った。
携帯の時計を見る。「ごめん、そろそろ駿ちゃんのとこ行かんと」
『じゃあ、また明日ね』
「おやすみ」
携帯を閉じ、もたれていた建物の壁から体を離した。
駿佑と待ち合わせている渡り廊下に向かおうと、一歩踏み出す。
「おい」
低い声で呼ばれ、振り向いた。
同じ施設の少年３人が暗い背後に立っている。
瞬間的によぎった、嫌な感覚。
咄嗟に距離を取った。
そこへいたのは、門限破りを繰り返したり煙草を吸ったりと、職員も手を焼いている不良少年たちだった。私とは別の意味において周囲から浮いている異端児。
年齢は私と同じくらい……確か。
例によって興味もない相手だし、よく覚えていなかった。
だから出合頭のその時の感覚はまだ、面倒なのに見つかってしまったとかその程度のものだった気がする。
「消灯時間過ぎてんで」
その言葉、そっくりそのまま返してやりたい。
私は構うことなく渡り廊下へと歩き出した。
考えてみれば、消灯後に職員の監視の目が薄れて出歩きやすくなることくらい、私と駿佑より古参の彼らが知らないはずはなかったのだ。
「無視すんなや」
リーダー格らしい茶髪に肩を掴まれる。「電話、彼氏からやろ？ 駅まで送ってきてるの見たで。仲が良くて羨ましいな」
「……どうも」
単調に返してその手を振り払った。
元来、私は気が弱く大人しい性格だ。
親が生きていた頃であれば、不良相手に堂々とした態度を取るなど考えられなかった。
だけれど、そんなことを言っていてはここでは生きていけない。
良くも悪くも、ここはそういう場所だった。
「あいつはお前とはちゃうで」
茶髪が声を上げる。
「どんなに良いガッコ行ってもオベンキョ―ができても、お前は俺らと同じ種類の人間や」
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真澄(プロフ) - 爽さん» ありがとうございます！早く明るい話に持って行けるように頑張りますね！ (2021年10月20日 21時) (
レス) id: aa6f36c2c4 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ありがとうございます！次も気になって仕方ないです (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: 3c9be1cb24 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» 伏線はすごく頑張って敷いているので嬉しいです。本当に救ってあげて欲しいですね( ；∀；) (2021年10月1日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 改めて最初から読み返すと色々な伏線があって、すごく納得しました。切ない苦しい思いを抱える主人公を、大我さん救ってあげて、、！という気持ちで続きを待っています。 (2021年9月29日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» 恐縮です！ありがとうございます😂 (2021年9月24日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年8月17日 11時
