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油の切れた金属が擦れ合い、ブランコが軋んだ。
泣き疲れた顔で遠くを見やる。
「やっぱAちゃんだ」
声のした方へ顔を上げた。
ブランコの横に立った樹さんが「おっす」と片手を挙げている。
「ほら言ったろ？ Aちゃんだって」樹さんは公園の外に向かって声を掛けた。
気まずそうな表情を浮かべ、小走りに駆けてくるのは北斗くんだった。目を伏せる。
「言われなくても分かってますよ」
樹さんの方を不服そうに軽く睨んだ北斗くんは、「おつかれ」と私に小さく笑う。
「あれ、きょもは？」
ちょ、と北斗くんが慌てて樹さんの肘を小突いた。
「きょもNGなの？ なんで、夫婦喧嘩中？」
樹さんが私の顔を覗き込む。
「つか泣いてんじゃん！ 誰に泣かされた！？ 俺がシメてやるから教えな、どこのどいつ！？」
黙り込んだままの私と北斗くんを見比べた樹さんは頭を抱えた。「……きょもかよ。好きな女泣かせるとかあいつサイテー」
「……大我さんは悪くありません」
鼻をすすって呟く。
沈黙が流れた。
「……なぁ北斗。俺やらかした感じ？」
「ほんとですよ」
「やべぇきょもに殺され……あっまたきょもって言っちゃった」
「樹さん」
北斗くんが呆れの混じった声でぴしゃりと言った。「帰ってください」
樹さんは「おう……」と肩を落とし、北斗くんの背中をぽんっと叩いてから公園を後にした。
「声掛けない方がいいと思ったんだけど。樹さんが止める間もなく行っちゃって……」
「……いいよ、別に」
優しいこの彼にまで冷たい言い方をしてしまう自分に嫌悪感を抱く。
「北斗くん」
ブランコの鎖を握り直して尋ねた。「……私が北斗くんとお別れした理由、わかる？」
ゆっくりとこちらに顔が傾けられる気配がした。
「今もまだ、あの時の私の頼みを聞かなかったせいだと思ってるの？」
北斗くんは口をつぐんだまま隣のブランコに座る。
何度かそれを漕いでから頷いた。「……うん」
口から大きく息を吐き、天を仰いだ。
「優しいけど残酷だよね。北斗くんって」
何も知らないこの人を責めるのは筋違いだ。
でもあの時の私は、北斗くんが優しければ優しいほどに自分を否定されている気がして辛かった。
涙がまた滲んできて。
鞄に手を入れてから、ハンカチがないことに気付く。
腕時計ごと大我さんに渡したんだった。
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真澄(プロフ) - 爽さん» ありがとうございます！早く明るい話に持って行けるように頑張りますね！ (2021年10月20日 21時) (
レス) id: aa6f36c2c4 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ありがとうございます！次も気になって仕方ないです (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: 3c9be1cb24 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» 伏線はすごく頑張って敷いているので嬉しいです。本当に救ってあげて欲しいですね( ；∀；) (2021年10月1日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 改めて最初から読み返すと色々な伏線があって、すごく納得しました。切ない苦しい思いを抱える主人公を、大我さん救ってあげて、、！という気持ちで続きを待っています。 (2021年9月29日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» 恐縮です！ありがとうございます😂 (2021年9月24日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年8月17日 11時
