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電車に乗って、終着駅まで。
そこからバスに乗り換え、田舎道を揺られる。
大我さんは窓側に私を座らせてくれようとした。
断って彼を奥に譲る。都会っ子の大我さんが、田園風景にわくわくしているのが伝わってきたからだ。
バスの乗客は地元のお年寄り数名だけ。
だから離れた席に座っても良かったのだけれど、私は２人席の隣側に腰掛けた。
「のどかですね」
ん、と躍る心を抑えたみたいな声が返ってきた。
大我さんは窓に張り付くようにして、稲穂の実った黄色い田んぼを眺めている。
遠足に行く子供みたい。かわいいと思った。
山肌が迫る急カーブ。バスが大きく左右に揺れた。
指と指が当たる。相変わらず冷えた指先だった。
その手をやわく握れば、少し驚いた表情で私を見ていた。
降りたバス停脇の店へ立ち寄った。
おばあさんが１人で営んでいる小さな売店。
たまごボーロ、飴玉、キャラクターの描かれたパックのジュースなんかを買っていく。
物欲しそうにレジ袋の中身を覗く大我さんに微笑んだ。「余った分は後であげますから、我慢しててください」
山道は舗装されているものの、急坂で道幅も狭い。
露に濡れた木々の香りと、鈴虫の声がした。
後をついてくる大我さんが、締まりのない声で「A―」と呼ぶ。
「はい」
「まだー？」
「あとちょっとです」
あついきついつかれたぁ、と駄々をこねてくる。
来た道を戻り、再びその手を取った。
「運動不足ですよ」
「運動きらい」
中腹に至ったあたりで視界が開けて、ほんの２、３歩で渡り切ってしまうほどの橋が現れる。
その先には参道が続いていた。「……お寺？」
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真澄(プロフ) - 爽さん» ありがとうございます！早く明るい話に持って行けるように頑張りますね！ (2021年10月20日 21時) (
レス) id: aa6f36c2c4 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ありがとうございます！次も気になって仕方ないです (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: 3c9be1cb24 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» 伏線はすごく頑張って敷いているので嬉しいです。本当に救ってあげて欲しいですね( ；∀；) (2021年10月1日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 改めて最初から読み返すと色々な伏線があって、すごく納得しました。切ない苦しい思いを抱える主人公を、大我さん救ってあげて、、！という気持ちで続きを待っています。 (2021年9月29日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» 恐縮です！ありがとうございます😂 (2021年9月24日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年8月17日 11時
