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作間くんが突然、ははーんとした顔で笑った。「……分かった。シチュエーションが気に入らなかったから怒ってるんですね」
「……え？」
「彼女が言ってました。女性というのは、人生の節目に夢を見るものだって」
「そう……なのかな」
「理想のプロポーズと現実のプロポーズが違ったってことですね。なるほど」
なんだかよく分からないが話が脇道に逸れたため、内心胸を撫で下ろした。
のも束の間、作間くんたっての希望で、私の理想のプロポーズ像を披露する展開になってしまう。
嫌だと主張したのに、「人助けだと思って」と丸め込まれた。
「えっと、何年か付き合った彼氏にね。……ちなみに、その人は王子様みたいな外見なんだけど」
私はなぜこんな夜更けにこんな真剣な顔で、こんな恥ずかしいカミングアウトをしているのだろう。男子大学生相手に。
やっぱりあの人じゃないですか王子って！とテンションの上がる作間くんを、「彼氏じゃないから駄目」と切り捨てる。
「お洒落なレストランか海辺で、こう、指輪のケースをパカっと開けられてね」
「へぇ。ベタに甘いシチュエーションの方がいいんですね」
「それで王子様が、『僕と結婚してくれますか』って……」
皆まで言えず、私は赤面してカウンターに両手をつく。
作間くんが何食わぬ表情で、「すいません、やっぱメモ取っていいですか？」と言い出すものだから、同じ話を２度もする羽目になった。
「参考になりました」
満足そうにメモを見返した作間くんは、「結局、地下室ってのがまずかったんですかね」と考えを巡らせている。
「いやもう、場所とか別にどこでもいいのよ……」手で顔を覆い隠した。
「え、じゃあ今の話は？」
作間くんがふと店の外を見やった。
ヒィエ、みたいな悲鳴を上げる。
つられて振り返ると、ガラス扉に額を押し付けた男がこちらを睨んでいた。
「橋本さん……」
ずかずかと店内に踏み込んできた橋本さんは、一直線に私の前に立つ。
「……今夜は早いですね」
珍しくお酒の匂いがしなかった。
「Aちゃん、なにあれ！？」
橋本さんは血相を変えたまま、どこかの方向をビシッと指差した。
「何、とは」
「大我に決まってんじゃん！」
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真澄(プロフ) - 爽さん» ありがとうございます！早く明るい話に持って行けるように頑張りますね！ (2021年10月20日 21時) (
レス) id: aa6f36c2c4 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ありがとうございます！次も気になって仕方ないです (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: 3c9be1cb24 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» 伏線はすごく頑張って敷いているので嬉しいです。本当に救ってあげて欲しいですね( ；∀；) (2021年10月1日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 改めて最初から読み返すと色々な伏線があって、すごく納得しました。切ない苦しい思いを抱える主人公を、大我さん救ってあげて、、！という気持ちで続きを待っています。 (2021年9月29日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» 恐縮です！ありがとうございます😂 (2021年9月24日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年8月17日 11時
