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夜景の綺麗なレストランでも、朝焼けに染まる浜辺でもなかった。
それどころか、陽のあたらない地下の一室。
相手に関しては空想通り、いやそれ以上の王子様だとは思う。
制服に着替え終わると、ロッカーの扉を閉めた。
もちろん、場所に不満があって気が塞いでいるわけではない。
様々なことが隠しきれなくなり、何かがそこまで迫ってきている予感が拭えないのだ。
全てが知られた時、私は、私たちは、どうなるのだろう。
10年間ぎりぎりのラインで保ってきた精神の均衡が、再び崩れてしまうのではないか。
そればかりが怖かった。
頭が重い。
ひとつ息をつき気持ちを入れ替えてから、店内へ出る。
私より１時間早くシフトに入っているはずの作間くんが見当たらなかった。トイレかな。
深く気に留めることもなく、レジカウンターに立つ。
ふいに違和感を覚えた。
なんか、視線を感じるのだけれど。下方向から。
目線を落とせば、案の定目が合った。
パン、という乾いた音が鳴って。
色とりどりの紙テープが頭上へ降りかかる。
「ご婚約おめでとうございます」
カウンター下の狭い収納スペースに隠れていた作間くんが、「アタタタ」と腰を押さえながら這い出てきた。
状況が把握できずに後ずさる。
これお祝いです、とクッキーの詰め合わせを渡された。
続けて突き出されるのは結婚情報誌。「あとこれもどうぞ」
ちょっと。
なぜ知っている。
「あのお兄さんが店に来た時から、いつかこの日が来るだろうとは思ってました」
したり顔でニヤつく作間くんに尋ねた。「……誰に聞いたの？」
「�盒兇気鵝�
「え？」
「これからプロポーズのお手伝いするって連絡が、朝入ってて。……あ、顧客情報を漏洩したことは許してあげてください」
今度僕がぶっ飛ばしとくんで、と冗談とも本気ともつかない口調で付け足している。
それよりも何よりも、私にはこの子の交友関係が謎だった。
「先越されちゃいましたね。自分の時の参考にしたいんで、いろいろ体験談聞かせてくださいよぉ」
そこで作間くんは、私の表情が硬いことに気付いたらしい。
「……もしかして、サプライズとか苦手でしたか？」しゅんとして俯いている。
「……う、ううん」
「じゃあマリッジブルー？ 早すぎません？」
結婚情報誌を押し返す。「……お断りしたので」
「へ？」
「その場で、お断りしました」
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真澄(プロフ) - 爽さん» ありがとうございます！早く明るい話に持って行けるように頑張りますね！ (2021年10月20日 21時) (
レス) id: aa6f36c2c4 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ありがとうございます！次も気になって仕方ないです (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: 3c9be1cb24 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» 伏線はすごく頑張って敷いているので嬉しいです。本当に救ってあげて欲しいですね( ；∀；) (2021年10月1日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 改めて最初から読み返すと色々な伏線があって、すごく納得しました。切ない苦しい思いを抱える主人公を、大我さん救ってあげて、、！という気持ちで続きを待っています。 (2021年9月29日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» 恐縮です！ありがとうございます😂 (2021年9月24日 23時) (レス) id: c611a69c7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年8月17日 11時
