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もーらい、と大我さんが私の取り皿からタコの串揚げを奪い取った。
「ちょ、何するんですか」
「だってさっきから全然食べてねーじゃん」リスのように左頬を膨らませて咀嚼しながら、私の目の前の皿を指差してくる。
「A、名古屋すぎたあたりから俺が話し掛けてもぼーっとしてたでしょ」
「……すみません」
「京都からは手震えてた」
そして新大阪で新幹線を降りる頃にはもう、自分自身でも明らかなほど青ざめてしまっていた。
ホテルで休んでいていいと大我さんは言ったけれど、その足で大阪支社の支社長との面談に付き添った。
私は大我さんの秘書として出張に付いて来た身だ。個人的な都合で迷惑を掛けるわけにはいかない。
カウンター席に肩を並べ、運ばれてくる串カツを次々と平らげる彼の横顔を見た。
ここは大阪支社にいる知人にお勧めされた店らしい。
面談後に一緒に飲みに行く予定だった支社長に急遽呼び出しがかかり、駅前の貸会議室にて今日のところは解散ということになった。
つまり、本日の私の業務は既に終了している。
それでもこの人に付いて来たのは、例のリハビリの一環だ。
私は、彼と距離を詰めることが怖いはずだった。
しかし引き寄せられるみたいに自然と、夕食を共にしている。
何を考えているのだかさっぱり分からない彼の思考回路には、こちらも肩肘張らずに付き合えるというメリットがあることに最近気付いてしまった。
というかメリットなのか、これは。
自分の思考回路まで分からなくなってきている。
「どうする？ とりあえずミニトマト串あと３本ずつ頼もっか」
「そんなにトマトばっかりいりませんよ」
ふと、以前にも男の人と串カツを食べに来たことがあるのを思い出した。遠い記憶を辿っていく。
17歳。高校生の頃か。
今や10年も昔になってしまった。
大我さんはエビの串に齧りついている。
一緒に行ったあの人は確か甲殻類アレルギーだったから、エビが食べられなかった。
大我さんの方があの人より、顔の彫りが深い。
髪色が明るい。
ちょっとわがまま。
でも鼻が高くて、笑顔が子供っぽいところは一緒。
「Aって出身こっちだよね」
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爽 - 続編消えたと思って焦りましたw続き読んだらドキドキし過ぎて一瞬で持ってかれました。 (2021年7月26日 14時) (
レス) id: 69f8ee2e96 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 爽さん» だいぶ大人なお話になってきましたが、今後ともよろしくお願いします！ (2021年7月22日 21時) (レス) id: e861df9d71 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - キャンディタフトとは違った少し大人なこの作品も好きだなって思いながら毎回楽しみなです。 (2021年7月14日 14時) (レス) id: 9c49d7f5d5 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» コメントありがとうございます。16章は２人の距離がすごく縮まっていくのでぜひ読んで頂きたいです！ (2021年7月3日 8時) (レス) id: e861df9d71 (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 二人の距離がもどかしくてすごく続きが気になります笑 (2021年6月30日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年5月21日 14時
