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痛みはない。
指と体の温度差も心地よい。
けれども、ひとことで言うならそれは異物感だった。
表面を撫でられた際のように強烈な快感を拾うことはできず、私は彼の腕の中でじっと耐える。
「もうちょっと力抜ける？」
内に差し入れた指でお腹側を探るように動かしながら、「痛くしないから」と大我さんが言った。
意識して体を弛ませてみる。
研ぎ澄まされていくみたいに、不思議と鮮明になる感覚があって。
彼の長い指と、私を這いずる疼きと。
出会いそうでなかなか出会えないのがもどかしい。
大我さんは、絶えず上から甘い口づけを落としてくる。
キスのたびに、指を締め付けてしまうのが自分でも分かった。
それなのに、同時に燻り始めている。
視界を靄が覆っていくような憂い。
いいのだろうか。
本当に、これで。
自分たちの関係がどうとか、そんなことじゃない。
もっと本質的なところで、このまま大我さんと一線を越えていいものか思い惑っていた。
本当に後悔しない？
私も、
……大我さんも。
体は貪欲なまでに高みを望んでいるのに。
頭が、心が、ブレーキを踏もうとしている。
「A、こっち向いて」
大我さんが呼ぶ。
目が合った。
内でうごめく指。
私を求める、燃えるみたいな瞳。
すべてがオーバーラップして。
脳にこびりついた記憶が、消せない記憶が、呼び起こされる。
「ねぇ、もっと俺のこと見てよ」
大我さんじゃない。
別の人物の声が重なって聞こえた。
ぞわぞわと、背筋が粟立つ。
快感ではなく、恐怖がもたらす鳥肌だった。
「離して」
「え？」
「やだっ！ 離してくださいっ！」
私の中から抜こうと、大我さんが慌てて指を手前に引いた。
その時だ。
偶然にも、その指がある一点を掠めた。
体が大きく跳ね、内壁が収縮する。
「いやぁっ！」
底知れない恐怖と、突然襲ってきた快感とに、私はパニックを起こした。
「ごめんなさい！ やだっ、許してっ！」
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爽 - 続編消えたと思って焦りましたw続き読んだらドキドキし過ぎて一瞬で持ってかれました。 (2021年7月26日 14時) (
レス) id: 69f8ee2e96 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 爽さん» だいぶ大人なお話になってきましたが、今後ともよろしくお願いします！ (2021年7月22日 21時) (レス) id: e861df9d71 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - キャンディタフトとは違った少し大人なこの作品も好きだなって思いながら毎回楽しみなです。 (2021年7月14日 14時) (レス) id: 9c49d7f5d5 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» コメントありがとうございます。16章は２人の距離がすごく縮まっていくのでぜひ読んで頂きたいです！ (2021年7月3日 8時) (レス) id: e861df9d71 (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 二人の距離がもどかしくてすごく続きが気になります笑 (2021年6月30日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年5月21日 14時
