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「はい、そういうことでもう帰って」
大我さんが橋本さんを廊下に押し出した。
扉の隙間から彼の靴を放り投げる。
橋本さんは意外にも素直に従っていて、「感謝しろよ〜」とよく分からないことを言っていた。
「感謝？」
「あいつ昔から変なんだよ」
鍵とドアガードを大急ぎで閉めた大我さんが、私を振り返った。「……それより、なんであいつと一緒にいるの？」頬が不満そうにむくれている。
受付時代の後輩の結婚式に行っていた話をする。「それで、橋本さんが大我さんの家で三次会しようって……」
大我さんがはっと目を見開いた。「もしかして、会場からここまで２人で来た？」
「はい。タクシーで」
「夜に男と２人きりでタクシー乗るって、何考えてんの？」
彼の剣幕に押され、１歩後ろに下がる。
「……へ？」靴箱に背中が触れた。
大我さんは靴箱の上に片手を置く。
彼の体と靴箱とに挟まれている形になった。
「……Aってさ、本当に男嫌い？」
低い声で尋ねられる。
「男と２人でタクシーに乗るわ、元カレに誘われればホイホイついて行くわ。男性恐怖症には見えないんだけど」
馬鹿にされたような感じがして、私は彼を睨んだ。
「あれは、あなたが行ってこいと言ったから行っただけです」
「は？ 俺が言えば行くのかよ」
なら言うんじゃなかった、と苦々しく呟いて体を起こす。
大我さんは濡れた前髪を掻き上げ、溜息をついた。「俺も今夜飲んでるから送れないわ。泊まっていきなよ」
びっくりして腕時計を見る。
確かにもう終電には間に合わない。
「大丈夫です。タクシーで……」
言い終わる前に、ここから自宅までのタクシー代を想像して歯切れが悪くなった。
「……歩いて帰ります」
「だめ。危ない」
大我さんが手前の部屋のドアを引く。「ここ使っていいよ。クローゼットに着替え入ってるから。男物だけど」
お風呂の場所を淡々と指示し終えた大我さんは、「弟くんにもちゃんと連絡しときなね」とそのままリビングに消えてしまった。
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爽 - 続編消えたと思って焦りましたw続き読んだらドキドキし過ぎて一瞬で持ってかれました。 (2021年7月26日 14時) (
レス) id: 69f8ee2e96 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 爽さん» だいぶ大人なお話になってきましたが、今後ともよろしくお願いします！ (2021年7月22日 21時) (レス) id: e861df9d71 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - キャンディタフトとは違った少し大人なこの作品も好きだなって思いながら毎回楽しみなです。 (2021年7月14日 14時) (レス) id: 9c49d7f5d5 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - みなこさん» コメントありがとうございます。16章は２人の距離がすごく縮まっていくのでぜひ読んで頂きたいです！ (2021年7月3日 8時) (レス) id: e861df9d71 (このIDを非表示/違反報告)
みなこ(プロフ) - 二人の距離がもどかしくてすごく続きが気になります笑 (2021年6月30日 0時) (レス) id: 58140af225 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年5月21日 14時
