大人って ページ6
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勉強会当日、行きのバスはひかるが横だった。ぎこちない空気を破ったのは、ひかるだった。
光「この前の、忘れていいから」
A「え…?」
光「ん…、もういい」
A「ごめん、私がちゃんと返事しなかったから」
光「ちがう…、Aの恋応援する」
A「わたしの?え、」
光「やまだから聞いた」
A「そっか…」
光「最後まで応援するから」
A「……、」
光「A、がんばれよ」
A「………ん、」
ほんとは、ひかるが一番苦しいのに。一番つらくて、泣きたいのに。好きな相手の恋を応援するなんて、わたしだったら絶対にできない。そんなやさしくていいひと、しあわせになってほしいのに、恋と呼べない恋をしているわたしが、くるしくなった。
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席のうしろから視線がくると思ったら、やまだった。なに、と言うと「おまえら仲直りした?」って、気にしてくれていたみたい。ありがとうね、やま。
途中、サービスエリアで止まってお手洗いに行こうとバスを降りると、喫煙所でほかの先生たちと仲良さそうに談笑している川西先生が目に入った。
そういえば、あのときぶりだ。
休憩時間が終わる前にそそくさとお手洗いを終えて帰ろうとすると、同じくバスに帰ろうとしていた川西先生を見つける。目で追っていたら視界に入ってきたのは カウンセラーの先生、譜久村先生で、にっこり笑いながら川西先生の背中に手を触れた。
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作者名:みずたき x他1人 | 作成日時:2018年11月10日 21時