好きだけど噛み合わない / ken ページ33
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kenshiro side.
まさか生徒からキスされるなんて思いもしなかった。まだそういうこともしたことが無さそうながきんちょに。子供ながらにかわいらしい勢いで、震えた手で必死に俺のスーツをつかんで。
…思いもしなかった、なんて嘘。
いつか、って思ってはいたけどこんな急にくるとは思ってなかった。…なんでこんなおっさんに必死になれるんやろ。20歳弱離れているのに。こんな肌汚いのに。青春真っ盛りなぴちっぴちな子の方がええやろうに。
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賢「あかんて、…なあ、」
A「…ごめんなさい。 保健室、自分で行きます。先生はお仕事、戻ってください。」
早口に、こちらの気持ちもスルーしようとしてるのが癪に障る。最後に言った言葉も、意味深でわかりづらい。
A「…カップケーキ、捨ててください。」
賢「は? Aの?それはなんでなん? 俺のために作ってくれたんやないん?」
A「友達にも言われたけど、おいしくないみたいです」
賢「ともだち?…って例えば誰? なあ、気味悪いやん。濁さんといてよ」
強く言い放つとひかえめに肩をビクッとゆらして、目も赤いもんだからうさぎみたい。
真っ暗な廊下のおかげでうまくこっちの顔が見れないようで、助かった。きみの顔が見れたら俺、まだ両手で抱えてるこの変な嫉妬心、溢れてこぼれてしまいそうだったから。
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作者名:みずたき x他1人 | 作成日時:2018年11月10日 21時