【こんな驚きは】黒い衣を纏った鶴は【始めてです】 (ページ5)

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３話ページ5

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防戦一方。
そんな表現が、今の私に良く合う言葉だ。

最初の一撃を浴びせてから乱闘が始まった、と言って良いだろう。あの岩の壁から離れた、見晴らしの良い場所で、頑張っている。

まだ…小さい二体しか倒せていない。

｢っは、いいねぇ…驚かせてもらったぜ…！｣

大きめの化け物は目が良いようで、いちいち私の動きについてくる。それを逆手に取り、フェイントや守りの体制を作り、攻撃を最小限で受けていく。

だけど、そろそろ体力が無くなって来ている。気力で戦っているのだ。目が霞んできた。

あと一回でも大きめの化け物に叩かれたら、この日本刀は折れてしまうだろう。つまり、武器が無くなってしまうのだ。

本当に打つ手が無くなってしまう。それだけは避けたい。

そう思っていた。その時だった。

｢派手にきめるぜ！｣

一体。大きめの化け物が後ろに倒れた。その影に、小柄な人がみえる。顔は逆光で見えない。

｢柄まで通ったぞ！｣

また一体。影には、これまた小柄な人。

｢格好良く決めたいよね！｣

｢お覚悟！｣

いつの間にか全部が倒れていた。安心感から、座り込んでしまう。

でも、誰なの？また、新しい敵…とか？

それなら…逃げなくちゃ、間に合わない気がする。

｢ふっ…、んっ！｣

駄目だ…、座ったせいか、足に力が入らずに立てない。泣きそうになり、うつ向いた。

｢大丈夫？鶴さん…だよね？やっと会えたね！！｣

聞き覚えのある声が真上で聞こえる。もしかして…光、なの？
確認したくて顔を上げる。そこには私の正面でしゃがみこみ、顔には見慣れ無い眼帯をした、光の顔だった。

｢光、なんだね…？｣

光は安堵と、不安、困惑している表情だった。

それもそのはずだ。今朝急に死んだと思っていた友人が、生きていたのだから。しかも…服が変わって、直ぐにはわからなかったんだろうな。

いつもの光は、私を見かけたら飛び付いて来るから…。

｢ちょっ、鶴さんだよね…？！…ゲートっ、ゲート開いて！今すぐっ！！｣

後ろにいる、仲間と思われる人達に声をかける光。聞きなれない単語に耳を傾けるも、意識が限界に達していた。体が重い。

光に会えていないのは一日だけだが、酷く安心した。しゃがんでいる光に倒れ込むようにして、眠った。

ーー

光忠オチ…では無いですよ！！まだまだ皆出ますからね！(by作者)