妖怪㐂伝、虹の岡［all］〜肆〜

血筋の呪い ページ14

橙side






呆然とした俺を置いてって、遠くから平鍬を持ってきて穴を掘る


ざくざく歯切れのいい音を立てながらただ大毅を見つめていた




後ろから斬られ、口から吐いたであろう血が乾ききっている




目を瞑っているだけ良かった。無の目を見たら、ほんまに心が壊れそうになる






あれほど元気に、走り回って、喋って、笑ってた




生意気で、好奇心旺盛で、可愛い弟のようなあの子が











橙「……なぁ、」




紫「んー？」




橙「……この子が、生き返ることって、もう無いんかな」




紫「……。」




橙「……拾ってくれた家も守れず、師匠の最期の願いも果たせず、、仕舞いには死にきれんと鬼？」




紫「……。」




橙「ははっ、何やろな俺の人生。」




紫「……。」




橙「今まで見捨ててきた人らからの呪いかも知らへん…」








ただの独り言。


平鍬は止まらず、ただ掘る音が響く



死んだ後なのに走馬灯が頭に流れる



虚しいわほんま…




ほんまに、ごめん……大毅も、師匠も、、みんなもほんまに



死ぬなら…俺だけだったら……俺だけなら…










紫「……ふぅ…………方法ならあるよ？」




橙「……っ？！」




紫「生き返るってか、目覚める方法ならある」





橙「何？！何すればいい！？」





紫「うーーーん、ほぼ禁忌やからなぁ」





橙「頼むって！お願いします！！馬車馬みたいに使い古しても、何でもええから！！やれることあんなら！何でも！！」










渋るそいつの前で地面に頭を擦り付ける


腕を組んでずっとうんうん唸ったと思ったら


膝を曲げて俺と目を合わせた








紫「よう聞いて兄ちゃん。ほんまに、ほーんまにあかんのよ。無闇矢鱈にしちゃ、しかも人間元通りでは無いの」





橙「……？」





紫「もし、それでもこの子を目覚めさせたいんなら、





お前が鬼を極めて、俺に協力してくれるか？」









橙「鬼を、極める…？」







紫「人間に紛れて生きる妖怪も中にはおる。その道を捨てて正真正銘"鬼”として生きるってこと。」





橙「協力ってのは、」




紫「やりたいことあんねん。その為に必要なん、優秀な人」





橙「………」












赤「………。」












俺が、鬼になれば、
















橙「…わかった。それ乗った」










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