妖怪㐂伝、虹の岡［all］ (ページ9)

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妖の屋敷ページ9

紫side

みゃあん

猫が気持ちよさそうに伸びをする

あかん…欠伸が移るわ。このままやと昼寝してまう

紫「照史、ちょっと近くまで散歩してくるわ」

橙「ん、わかった。迷うなよー」

紫「なんでやねん。迷うかい」

橙「あほ。そっちのチビに言ったんや」

紫「ん？」

にゃ～お

さっきまで寝てた猫が足元に擦り寄ってこちらを見上げた

紫「お前も行くか？」

ミャーミャー

紫「ははっ、ほないこか。」

小さい体を抱き上げて近くの岡まで気晴らしに

蝉も元気やなぁ。木が多くて良かった

もう暑くて暑くて敵わん

猫もくっつくのに飽きたらしく腕から降りて
自分で歩くのだと

えらい人懐っこい猫やな

ミーンミンミンミンミン

ミーンミンミンミンミン

紫「……？」

にゃ？

妖気を感じる

森がいつもと違って騒いでる。

まずい…今日はまずいぞ

嫌な予感が当たっていない事を願いながら
"気"を辿って急いで向かう

紫「…はぁ……やっぱりか、」

小川の近く、生い茂った木陰にうじゃうじゃといる
のびあがり達。

のびあがりとは、見上げた者の首筋に噛み付いたり、
首を絞めたりするなどの人に危害を加える妖怪

厄介な奴に捕まってるのは人間、しかも子供か、

身体中にまとわりつき、大きく口を開けて今にも
食べようとしてる

紫「こらこら。やめなさい」

おまえはだれだ

じゃまするなおまえもひとのこか

紫「ここ一帯を仕切るもんや。その子が何したか
知らんけど、離したり？」

ほうあやかしのもりのぬしじゃまするな

われらははらがへったようぶんがいる

こいつよいかおりだはやくくわせろ

紫「妖力なら分けたるから。無力な人間を無理やり
襲うんはやめろ。少なくともここは、な？」

…しかたなくだ

紫「おおきに。」

あいつらは俺からの妖気を受け取ると大人しく消えていった

さて、こっからやな…

黄「うっ……っ、……はぁ……ぁ……」

どないしよ…、、

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