妖怪㐂伝、虹の岡［all］ (ページ3)

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夏の思い出ページ3

黄side

黄「あれっ？この笑い声…」

紫「あっ、あぁ～！子供がようこの辺り遊んどるからな！」

黄「あぁ…家の近くでも聞いたんですよ」

紫「ははっ、ようわかるなそんなん」

黄「いやぁ、覚えやすい変な笑いやったんで」

パン！

黄「い"ったっ！！」

背中を思いっきりはたかれて思わず前のめりになる

お兄さんは顔を青くさせて俺の後ろに目で訴えていた

「……。」

そっちを振り向くと、頭に座布団を頭巾のように包んだ
男の子がすっごい顔(眼力？なんか腹立つ)で立っていた

黄「……なんでしょう」

「誰が変な笑い方や唇」

黄「誰が唇や僕ちゃん」

「お前より年上や！」

黄「嘘つけぇ！！」

紫「しげちゃーん？出てきたらあかん言うたよなぁ？」

赤「だからこうやって隠れた！」

紫「……なるほど。」

この人の子供か？

にっこりと口角をあげた口からは歯がきらりと光る

朱色の甚平には葉っぱや枝がちらほら。
わんぱくな奴やなぁ

取ってやろうと手を伸ばすと、体を震わせて距離を置かれる

なんやこいつ、突っかかってきたくせに

黄「なんもせんわ。葉っぱ取るだけ」

赤「さ、触ったらあかんの！」

黄「なんなんやそれ。頭巾そんな大事か？」

赤「……避難訓練や」

黄「……おぉ、そうか。悪かったな」

なんでそんな満足そうやねん。

えっへんやないわ

紫「ほら、もうあっち行けっ！」

赤「ぎゃー！離せーっ！」

じたばた騒ぐ小さな体を抱えて襖の奥に放り投げるとピシャリと戸を閉めた。俊敏な動きから慣れていることが感じ取られた

紫「すんまへんお騒がせして。ほんま…
もうちょい大人しくしてくれたら嬉しいんやけど…

って、ちゃうちゃう！ほら、早く帰らんと今日は特に日暮れが

……っ、しまった！」

また目を大きく開いた先を見ると、空は既に黒みがかっている

話してた間にもう…ほんまに早かったんや

黄「大丈夫っすよ。おれ男やし、足元には気ぃつけて帰るんで」

紫「あかん！！」

黄「…っ！」

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