妖怪㐂伝、虹の岡［all］ (ページ5)

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夏の思い出ページ5

黄side

黄「うあああああ！！」

にげろ、逃げろ逃げろ逃げろ！！

なんやあれ…奇形の生き物がうじゃうじゃと

腕は触手のように伸びてきて、身体にまとわりつく

俺が一生懸命に走ったのはどうやら嘲笑われていたようで

あっという間に引き戻される。

首まで伝って、…絞めるつもりか…っ

黄「ぐっ……離せっ、……！」

ほおほおそだちのよいかおり

どれどれいただこう

…なぁ俺、なんですぐに帰らんかったん

おかん、なんで今日行かせたん

ばぁちゃん、なんで死んだん

おれ、なんで食われ

「おっりゃあああ！！」

肉に当たった鈍い音と金属の擦った音。

木の向こう側から何かが飛び出し、
持っていた物を力いっぱい化け物の頭に振り下ろした

手を離したことで俺は下に落ちて思いっきり酸素を吸い込む

酸欠な視界の中で俺の前に立っていたのは

ガタイのいい背中に、黒と橙の羽織

腰元に刺さった刀と、軽々と担いだ大きな金棒

そして、、大きな牙に、、、角

誰が見ても、すぐわかる

こいつは、鬼だ

じゃまをするなこっちによこせ

よくもやったなあやかしのもりでこんなしうちを

「あぁあぁ、一斉に喋んな。耳が忙しいわ」

おまえもおなじものなぜじゃまをした

「俺らが自ら襲うんはちゃうはずや。そっちが破るんなら
地獄で閻魔さんにしばいてもろてもええんやで」

…おそれのなくしたおろかものが

あれほどいたもの達が嘘のように一瞬で消えてあたりは
シンと静かになった

何が起こったか分からない俺に、鬼はため息をついて鋭く睨む

「おい人間の餓鬼ぃ、今の他の奴らに言うてみ。
お前の細っこい腕噛み砕いてやるからなぁ」

黄「…っ、、あの、」

「あぁ"？」

黄「……おおきに、助けてくれて」

「……はぁ、育ちのええのぉ。何者にも感謝は大事ってか

お前を助けた訳ちゃう。ここの決まり守っただけや。
立てんならさっさと帰れ」

面倒くさそうに無理やり俺を立たせて雑に押し出す

「あきとー！！」

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