とあるメイドの恋事情【尾関光希】 (ページ28)

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28話ページ28

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結局あの後ご本人とは話せず、シンクに食べ終わった
お皿だけが置かれていた

『楠木、何してるの？』

楠「あ、知晶さんのベッドシーツに刺繍を少し」

刺繍糸で丁寧に縫われたのはchiakiの文字だった

『上手いのね』

楠「余計なお世話でなければなんですけど…」

『喜ぶと思います。綺麗だなぁ』

楠「暇つぶし程度の簡単なものです」

『繊細な仕事はどうも苦手です。届けてくる』

楠「あ、お願いします！」

執事室からリビングルームに行くと、知晶様はソファで読書をしてらした

『シーツ類、こちらに置かせていただきます』

知「ありがとう。」

『楠木が時間が余ったから名前を刺繍をしたと言っていました。こちらですね』

知「…そう」

知晶様はシーツを手に取ると、ピンクの刺繍糸をゆっくりなぞり、目を細める

その表情はまるで…

『お嬢様、まさか…』

知「…なに？」

『……いえ、なんでもございません。失礼します』

結局、何も状況は変わらぬまま次の日となった

手「クリーニング屋ですー！」

楠「はぁい！」

『ご苦労さまです』

今日も世間話を挟みながら(て言っても小岩井さんは相手にしてないんだけど)クリーニングの衣服を確認している

手「もう黒トリュフ届いてます？」

楠「よくわかりましたね！昨日フランスから…むぐっ」

『静かに』

手「北沢家といえば節分よりも、黒トリュフパーティーですからね！」

小「うんうん。そろそろお引き取り願えますか」

手「今年こそは招待してくださいよ！」

『ご家族が招待された人でしか参加できません』

手「だから僕を招待してよ〜お嬢ちゃん」

『お引き取りを！』

まったく、隙あらば割り込んでくるんだから

近所でも有名な北沢家イベントのひとつ

「黒トリュフパーティー」

外国から仕入れたトリュフを使った料理に舌づつみつつ、ご家族の人脈を増やすものだ

小「さぁ、そろそろ仕込みを始めようかね」

楠「はい！」『はい』

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