とあるメイドの恋事情【尾関光希】 (ページ21)

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21話ページ21

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大きな声が横から聞こえ、其方を見ると、ずんずん大股で近づき、私を楠木から離した

『なんで貴方がここにいるんですか』

尾「自分も買い物だったからです。まさかこんな場面に出くわすとは思ってもいませんでした」

『あの、楠木から私を守る体制やめてください』

尾「安心してください。睨んでいても美人です」

『会話しろ』

くそう。高い身長と広い背中のせいで楠木の様子が全然わからない。でもここで戯言に付き合ってる暇はない

尾「力が必要なら呼んでください。いつでも駆けつけますから」

『必要だとしても貴方は呼びません。楠木』

楠「はい！失礼いたします」

疲れるからそのまま放置してレジに向かった。楠木にも謝り、その場で解散

お腹すいたな、早く帰ろう

後ろでハッハッと息と足音が聞こえる

ランニング中かな。寄った方がいいかな

尾「Aさん！！」

『ですよね。だと思いました』

尾「息遣いで僕を識別できるようになったんですね」

『人を変態にしないでください変態』

なんだ息遣いって。そんなプロフェッショナルいてたまるか

そしてなんでお前はそれでも嬉しそうなんだよ
自分の呼吸パターン覚えられてるんだよ？嫌でしょ

『で、なんのご用ですか』

尾「ご自宅までお送りします」

『私見た目に反してタフなので』

尾「これは警察の任務です。女性に夜道を歩かせるわけにはいきません」

『……職権乱用』

尾「それでもいいです」

隣に並ぶと私が持っていたビニール袋を手に取る

もういいや楽になったし

かなり買い込んだつもりだがそれは流石

軽々しく荷物を持ち、車道側を自然に歩く

世間話して、答えやすい質問をこちらにもふっかけてくる

よくできた人。それは本当に間違いない

『…ここです。ありがとうございます』

尾「なるべく早く入ってくださいね。鍵もすぐにかけてください。誰か訪ねて来てもドアチェーンやロックをしてから」

『ふふふっ』

尾「…？」

『すみません。小学校の安全教室みたいで』

尾「あぁ、つい…」

『お気遣いありがとうございます。おやすみなさい』

私が見えなくなるまでアパートの外で待機している彼

わざと振り返ってみると早く早く！とジェスチャーをされてまた笑ってしまった

会釈して今度こそ私は部屋に帰ったのだ

尾「…はぁ〜〜っ、笑った顔……」

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